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ワンポイント 消防委員のための法令用語解説

行政手続法の用語の定義

一、 行政手続法の用語の定義
行政手続法では、行政手続法で規定されている用語について、定義規定をおいている。以下、検討する(行政手続法二条)。
二、 法令
行政手続法では、法令について、「法律、法律に基づく命令(告示を含む。一、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下同じ。)をいう。」一同法二条一号)と定義している。
一般に、「法令」という用語は、国の法令をいい、地方公共団体の制定する条例は含まないとして規定されている例が多い(例えば、地方公務員法二条参照一が、本法では、条例や地方公共団体の規則も含めて「法令」として定義している。
三、 処分
処分については、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。」(同法二条二号)と定義している。
「処分」という用語について、行政事件訴訟法では、『この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。一の取消しを求める訴訟をいう。』(同法三条二項)と規定して、定義している。
また、行政不服審査法では、「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」(同法一条一項)と規定しており、さらに、,この法律にいう「処分」には、各本条に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他内容が継続的性質を有するもの(以下「事実行為」という。)が含まれるものとする。』(同法二条一項)と定められている。
行政手続法の「処分」の定義は、これらと同じ内容を定義している。即ち、「処分」とは、行政庁が国民に対する優越的な地位に基づき、人の権利義務を直接変動させ、又はその範囲を確定する効果を法律上認められている行為など人の権利義務に直接具体的な効果を及ぼす行為である(総務庁行政管理局編、逐条解説行政手続法一四頁)。
「行政庁の処分」については、「行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味せず、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうちで、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。」とする最高裁判決がある一昭和三九年一〇月二九日判決)。「行政庁」とは公権力行使の権限を有する者である。
「公権力の行使に当たる行為」とは、優越的な地位に基づき、人の権利義務に直接具体的な効果を及ぼす行為一般を指し、「行政庁の処分」のなかに、行政不服審査法二条一項の「事実行為」がこれに該当する。
全消会顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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