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ワンポイント 消防職員のための法令用語解説

 

行政手続法の目的等(二)

 

四、 地方公共団体の処分に対する適用除外
地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導並びに地方公共団体の機関に対する届出(届出の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)については、行政手続法の第二章 申請に対する処分 第三章 不利益処分 第四章 行政指導 第五章 届出 の規定は適用しないことになっている(行政手続法三条二項)。
これは、地方自治を尊重したためである。しかし、第六章 補則 の行政手続法三八条で、地方公共団体は、前記の規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出の手続について、行政手続法の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないことになっている。
そのため、各地方公共団体で、行政手続条例の制定が図られている。

 

五、 国の機関等に関する処分等の連用除外
国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、行政手続法の規定は適用しないことになっている(行政手続法四条一項)。
例えば、地方自治法二五〇条の規定による起債の許可は、固有の資格に基づくものである。即ち、一般私人と同じ立場でないものをいう。
これに対し、地方公共団体が運営する一般旅客業運営事業は、一般私人と同じ立場なので、これについては、行政手続法が適用されることとなる。

 

六、 特殊法人等に対する監督処分の適用除外
特殊法人等に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の規定に基づいてされるもの(当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については、行政手続法 第二章 申請に対する処分 第三章 不利益処分 の規定は適用しない (行政手続法四条二項、三項)。これらについては、その監督機関による監督に委ねるものである。カッコ内の処分は、行政手続法の規定が適用になる。
これらの特殊法人等にあたるものとしては
一、 特殊法人として、例えば、農林中金
二、 認可法人として、例えば、司法書士会
三、 指定法人として、例えば、中央高年齢雇用安定センターがある。
指定法人とは、行政庁が法律の規定に基づく試験、検査、検定、登録その他の行政上の事務について、当該法律に基づき、その全部又は一部を行わせる者として指定した法人である(行政手続法四条三項参照)。
全消会顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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