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消防最前線

 

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火災

特異災害救助用資機材、火災現場で活躍
海部東部消防組合消防本部(愛知)

 

はじめに
当消防組合は、愛知県海部郡の北東部に位置し、東は名古屋市、西は津島市に接し、七宝町、美和町、甚目寺町及び大治町の四町から構成され、人口一〇五、〇七六人、世帯数、三三、八七三世帯、面積三四・一六km2を管轄している。平成七年の火災発生件数は、六一件、人口一万人あたりの出火件数は五・八件である。また、この地域は、近年の人口増加により都市化の傾向にあるものの、周辺に田畑も多く残っており、未だ閑静な雰囲気をとどめている。
消防体制は、一本部、一署、一分署、職員数一〇九名、消防団は、四本部、三五分団、一、〇三八名で、日夜、災害に強い安全なまちづくりをめざして、業務を推進している。今回紹介する事例は、大正元年に建築され、管内でも極めて希少な茅ぶき家屋の火災に、今年度、特異災害救助用資機材として新規導入した、油圧ショベル(小型建設機械)を活用し、大量にくすぶり続ける茅を排除、消火活動に奏功した事例である。
一 火災の概要
(一)出火日時 平成八年八月一六日(金)六時四六分
(二)出火場所 海部郡大治町大字花常字西屋敷三七番地
(三)覚知時刻 六時五一分
(四)鎮火時刻 八時五九分
(五)気象状況 天候晴れ、風向北西、風速四・三m/s、気温二六・五度、湿度七八%
(六)死傷者 なし
(七)り災人員 六人
(八)焼損状況 全焼三棟、部分焼一棟 焼損八積二七八m2 損害額四五〇万円
(九)出火原因 石油ストーブの取扱い不適

 

二 出動車両及び人員
(一)指揮車 二隊 五名
(二)水槽付ポンプ車 二隊 六名
(三)普通ポンプ車 二隊 五名
(四)水槽車 一隊 二名
(五)救助工作車 一隊 四名
(六)救急車 一隊 三名
(七)資機材搬送車 一隊 三名
油圧ショベル(一)隊 (三)名
(八)火災調査車 一隊 三名
(九)人員輸送車 一隊 一三名
計 二一隊 四四名

 

三 現場付近の概要
現場付近一帯は、土地も平坦で、高架の東名阪自動車道、また、その直下には、国道三〇二号線が南北に縦走する交通量の多い地域である。しかし、この幹線道路から一歩脇道へ入ると、狭隘な道路が入り組み、住宅も非常に密集している。したがって、火災防ぎょ上最も注意を要しなければならない地域の一つでもある。

 

四 活動概要
六時五一分、通信指令室により一一九番覚知、直ちに火災第一次出動が指令管制された。各隊は第一指揮体制により出動、現場到着までの所要時間は概ね六分である。出動途上、大量の黒煙上昇を視認、出動各隊は炎上火災を確信した。
六時五七分、本署六小隊(消火栓部署、一小隊)、続いて二分後、分署二小隊(消火栓部署、一小隊)がそれぞれ現場西、国道三〇二号線沿いの側道に現場到着し、指揮官は現場指揮本部を設置した。
現場到着時の火災状況は、木造平屋建(一部二階建、一棟)四棟が炎上している中期火災で、各様の建物配置は、南向きのコの字型

 

 

 

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