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『消防設備士免状返納命令に関する運用基準』に基づく全国に先駆けての免状返納命令事案

東京消防庁予防部査察課

はじめに
防火対象物等における消防用設備等の設置及び維持管理を担う消防設備士は、国民の社会的負託に応えねばならず、また、消防設備点検資格者とともに点検業務を独占していることから、その社会的責任は大きいと言えます。このため、消防設備士はその業務を行うにあたって、誠実に行うとともに、消防用設備等の質の向上に努めなければならない責務があります。この責務を法的に担保するため、消防設備士に消防法令違反があった場合は、その違反の悪質性や重大性に応じ、消防法第一七条の七第二項及び同項により準用される同法第一三条の二第五項の規定に基づき、都道府県知事が当該消防設備士免状の返納を命ずることができるとされています。
この免状返納命令を前提とした資格取消しに係わる評価制度として、「消防設備士免状返納命令に関する運用基準」(消防庁通知)があり、平成四年一〇月一日から全国統一的に実施され、当庁においてもこれに基づき積極的に制度の推進を図っているところであります。
先般、消防用設備等の法定点検の際、資格外点検等の消防法令違反を行った消防設備士に対し、聴聞を実施し、免状返納命令を発動した事例がありましたので、その概要について紹介します。
一 被処分者
A(五八歳)
株式会社B(消防設備業)従業員
二 返納免状の種類等
(一)消防設備士乙種第五類免状
(昭和四八年、茨城県知事交付)
(二)消防設備士乙種第六類免状
(昭和四八年、茨城県知事交付)
三 返納命令年月日
平成八年六月二八日
四 返納命令者
東京都知事 青島幸男
五 返納命令の原因となる違反事実等
(一)違反年月日
平成八年一月一六日、同一七日
(二)違反場所
東京都C区 D団地(四棟)
(三)違反発見の端緒
平成八年三月二六日、所轄消防署による立入検査の際、上記違反場所(四棟)に設置されている連結送水管の送水口及び放水口に係る重大な不備欠陥箇所がありました。(写真)

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