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◇長久手町消防本部◇(愛知)

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当町は愛知県のほぼ中央に位置し、西部に名古屋市名東区及び守山区、北部に瀬戸市及び尾張旭市、東部に豊田市、南部は日進市と隣接しており、東名高速道路名古屋ICや地下鉄東山線藤ケ丘駅に近いうえ、三河地方への連絡道路であるグリーンロードが町を横断するなど交通の便も非常に恵まれている。また、徳川家康と豊臣秀吉が激突した合戦、小牧長久手の戦いの舞台となった町で古戦場が国の指定史跡として残され、町民の憩いの場となっている。
当町は、昭和五一年一一月救急業務を実施するため、役場職員として四名を採用し、五二年四月から七名体制で任意救急を開始。消防本部は五五年四月、町単独で職員二九名により発足した。現在は一本部、一消防署、四四名の職員で組織構成され、面積約二二km2、人口約三六、○○○人の地域防災の任に当たっている。
昨年は火災件数が二六件、救急一出動件数が七二五件であった。救急車の覚知から現場到着までの所要時間は九七%が一〇分未満、搬送先の四七%は管内で、救急車収容後の病院への患者収容時間は約八分、また、管外でも約一五分と短く、救急活動上は非常に恵まれた環境下にある。
♪救急体制の整備・充実
当本部の管内に救命救急センターを備えた大学の付属病院があり、救急隊員は病院で実地研修(?U課程の卒業後研修)を実施している。また、病院の協力を得て、随時非番の時を利用して職員の希望で研修が受けられる制度がこの五月に動き始めた。
♪レベルアップをめざして
この四月から次の五点について、機構等の改善がなされた。?@課長ポストの新設。?A勤務形態を二部制から三部制に変更し、完全週休二日制を実施。?B救急の高度化を図るため、警防隊員と兼務で行っていた救急隊員の専任化に踏み切るなど、組織の強化。?C仕事等のアイデアを思いついたら、まずメモを取るという、「ひらめき手帳」を配布し、職員の提案制度を採用し職員のやる気を起こさせ身近なところから改善を図っている。昨年から使用している略帽も職員のデザインによるもので、内外から好評を得ている。?D平均年齢二四・九歳の一〇名の女性消防団員を採用した。活動内容は広報活動が主であるが、女性消防団員はこれまでの男性ばかりだった団のイメージ一新を図る一方、女性のセンスと気配りを生かし、老人家庭への訪問などを通じ、消防団員が町民に親しまれ防災の意識が普及できればと発足したもので、救急法の普及にも従事する。愛知県下最初の女性団員ということで、各誌にも大きく取りあげられ、各団員もやる気満々で今後の活躍が期待されている。
また、県の学校には毎年職員を派遣し、火災学会の研究発表会や他の研修会等にも積極的に参加させ、さまざまな学習機会を提供している。
♪幼児期から防火意識を
火災予防の中で力を注いでいるのは、幼児期における防火の意識の植え付けで、内容は幼稚園児及び保育園児を消防署に招き、防火の話や消防車・消防署員とのふれあいの場(写真は幼稚園児二〇〇名による消防署前での人文字)を提供し、話題を家庭にもって帰ることにより、家庭の防火意識の動機付けを図っている。
最後に加藤消防長は「今後、質の高い消防・救急を町民に提供するため、高規格救急車の配備及び救急救命土の養成を図ると共に、常に問題意識を持って事に当たり、職員の仕事に対するプロ意識を大切にしながら、消防の素晴らしさを大いにPRしていきたいし、信頼され頼りにきれる消防人として全力を尽くしていきたい。」と結ばれた。(飯塚文治)

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