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消防最前線

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火災

山頂寺院での遠距離中継送水
南越消防組合消防本部(福井)
当本部は、福井県のほぼ中央に位置し、武生市、今立町、南条町、池田町、今庄町、河野村の一市四町一村で構成され、東は岐阜県、西は日本海に面し、南は敦賀市、北は鯖江市、更に隣県の滋賀県に接しています。
越前富士と称される日野山に抱かれた武生盆地を、山林資源豊かな周辺の町村が取り囲んで一つの生活圏を構成し、農林業を基盤に工業・商業と均衡が保たれるなか順調に発展しています。
また、この地方は、「越の国」の中心として早くから開け、特に武生に国府がおかれた大化の改新から北陸地方の政治・経済・軍事の拠点として栄え、継体天皇の伝説遺跡をはじめ、古代寺院の廃寺跡、由緒ある神社仏閣、古代窯跡・古墳、古代名園、中世民族建築、田楽能舞など民族舞踊芸能、その他多くの貴重な文化財が今も厳然と残されています。
当本部は、一本部、一署、六分署、職員数一二九名で構成されています。
当地方は、比較的自然災害等の少ない地域でありますが、近年、放火火災が急激に増加し、特に神社仏閣への放火が頻発しています。
ここに紹介する火災は、多少旧聞に属しますが、標高二五〇mの山頂にある泰澄大師ゆかりの名刹が放火により全焼した火災で、山裾の集落にある溜池からポンプ車の中継送水により、ようやく消火せしめた事例です。
一 火災の概要
(一)出火日時
平成二年九月二六日(水) 一九時五〇分頃
(二)出火場所
武生市横根町大谷
霊松山横根寺本堂(観音堂)
(三)覚知時刻及び種別
二〇時一一分(一一九)
(四)鎮火時刻
二二時二一分
(五)出火当時の気象状況
天候 くもり、風向・風速 なし
気温 一九度、湿度 八九%
(六)焼損状況
木造瓦葺平屋建横根寺本堂
延二五六・八九m2 全焼
コブシ(樹木)の一部焼損=市指定天然記念物
収容物(仏具等)焼損 本尊=市指定文化財
(七)出場人員及び出場車両状況
消防署 署員三七名 消防車五台
現場指揮車等五台
消防団 団員一一三名 消防車二台
小型動力ポンプ積載車三台
(応援) 宮崎村消防団 団員一四名
小型動力ポンプ一台
自警消防隊 八隊 三三名
小型動力ポンプ二台
二 付近の状況
現場は、当本部の消防署より北西方向約五・五kmに位置する武生市横根町地係、霊松山横根寺境内に建立された本堂から出火したものです。
当該建物は、横根町集落より標高約二五〇mの山頂に向かって約一・五km登った地点に、山頂を切り開いた広さ一、八九四・三六m2の敷地内に、上り口(北側)より、西国三十三ケ所観音堂、鐘楼、地蔵堂、納骨堂、護摩堂等を配しており、護摩堂より一八mの距離をおき本堂が建立され、通常は無人となっています。
三 消防活動の概要

 

 

 

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