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消防最前線

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火災

佐世保市長大の飲食街での火災
佐世保市消防局(長時)
佐世保市は、長崎県の北部に位置し、歴史的には一九〇〇年程前の「肥前風土記」に端を発し、明治一九年に海軍鎮守府が置かれ、日露戦争、第一次・第二次世界大戦と海軍が増強されるに従って街は繁栄したが、戦争終結とともに新たな街の顔を形成し、日本の高度成長期には造船業を基幹産業として栄え、現在は、西海国立公園九十九島及び自然と共生する都市「ハウステンボス」などを中心とした観光と商業の都市として発展をとげている。
本市の消防体制は、周辺町からの業務委託を受け、一市十三ヶ町で構成し、人口約三五万人、管内面種約七五二km2、一局・三署・一一出張所、職員三三〇名で長崎県北の防災の拠点として業務にあたっている。
ここに紹介する事例は、スナックや飲食店等が立ち並ぶ一角のクラブから出火した火災で、建物構造上の障害により消火に困難をきたし、鎮火まで四時間にも及ぶ火災となったものである。
一 火災の概要
?@火災発生日時
平成七年七月一五日一六時三〇分頃
?A火災発生場所
佐世保市山県町一ノ九
?B覚知時刻
一六時四〇分(一一九)
?C鎮火時刻
二〇時二五分
?D気象状況
天候晴、風向南南西、風速五m/s、気温二八℃、湿度八四%
?E焼損状況
全廃二棟
半焼一棟
部分焼二棟
焼損面積八六四m2
損害額一億六三〇万円
?F死傷者なし
?G出動車両及び人員
消防署一八台六三名
消防団一〇台二一〇名
二 火災現場付近の状況
火災現場一帯は、長崎県北最大の飲食店街で、クラブ、スナック等約七〇〇軒が林立する地域で、出火建物は狭隘道路に面した一階がキャバレー、二階がスナックの木造建物で、建物が看板やトタン類で覆われ、延屍拡大の危険性も高く、火災防ぎょ上、極めて困難な地域である。
三 消防験の活動状況
一六時四〇分、一一九番により覚知した警防課通信指令室は建物火災第一出動を指令、出動計画によって消防隊六隊が出動し、防ぎょ活動にあたる。
中央消防署指揮隊は、出動直後に現場付近上空に黒煙の上昇を確認し、警防規程に基づき第二出動を要請し、一六時四二分、第二出動が指令され消防隊の増強を図った。中央暑指揮隊到着時の現場状況は、火元木造二階部分と隣接木造建物から火焔が放しく噴出しており、当街区の密集状況から延焼拡大は確実と判断し、消防署隊へ屋内進

 

 

 

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