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1865年に中央政府はウェリントンに移転したが、これは北島に先んじて急速に発展した南島の地位を考慮して両島の中心地を選んだものといわれている。
その後、1907年にニュージーランドは英連邦内の自治領となった。また、ニュージーランドは世界で最も進歩した社会保障を有する国に成長し、婦人参政権も世界で最も早く確立された国の一つとなった。歴代政府は教育の普及、労働条件の完備、社会保障の充実に力を入れ、他方、経済的には最も進歩した農牧業を確立し、高度の生活水準と完全雇用を維持できるようになった。
このような目覚しい発展は、天然の好条件を利用して英本国に対する主要農産物供給者となったことによるものであるが、軍事的にも英国海軍の保護に依存していたこともあって、ニュージーランドは英本国と極めて密接な結びつきを保ってきた。
しかし、このように緊密な英国との連帯関係も時と共に変化し、特に第2次大戦中、太平洋地域での英国の軍事的存在が薄れ、米国が英国に代わって支配的となった現実をきっかけとして、ニュージーランドは英本国から独立した自覚を持つようにたり、国際政治および経済の場において独自の立場に立った行動をとるようになった。
殊に近年ニュージーランドはアジア・太平洋地域の一員としての自覚を急速に高めており、政治的、経済的にアジア諸国の発展に協力している。英国が欧州共同体(EC)に加盟(これは英国とニュージーランドとの特殊な互恵的通商関係の終了につながる)したことと、日本が飛躍的な発展を遂げたことにより、ニュージーランドは政治・経済両面において、今後更にアジア・太平洋国家としての性格を深めてゆくものと思われる。
しかし、現在、人口の約80%は英国系であり、ニュージーランド人の英国に対する親近感は依然として強く、英連邦の最も忠実で有力なメンバーとして存続するであろうことを忘れてはならない。
貿易関係では、ニュージーランドの主要輸出相手国は、米国、日本、オーストラリア、英国であり、87年には米国が19億7,600万NZドル(全体に占める割合16.3%)、日本が18億2,300万NZドル(同15.1%)、オーストラリアが18億1,000万

 

 

 

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