
?薄明能率の向上については、倍率の増大と入射光量の改善(例えば対物レンズの径を増大すること)の方法があるが、同じ比率で倍率および入射光量を増大すると前者が後者の4倍の大きさの働きをする。
?薄明時に対物レンズの直径が同じである望遠鏡を使用する場合には、強倍率のものの方が有利である。
?暗い照度の場合、瞳孔径の大きさは25歳以下の人は平均7mm,60歳以上の人では平均6mmである。いま望遠鏡標準倍率をΓ、対物レンズの直径をD(mm)、入射瞳孔径をPa(mm)とすれば次の関係がある。
Γ=D/Pa
ここではPa=7mmが仮定されるので望遠鏡が、
D>≧7×Γ
の条件を満足させる場合は夜間望遠鏡とみなすことができる。
?夜間望遠鏡として使用するときは昼間に使用した時と同じ修正状態(同一調整)のままでなければならない。
3.4 双眼鏡使用上の注意点
(1)双眼鏡の性能は接眼レンズ側の器面に刻印、表示されている一般に「倍率×対物レンズ直径(mm)」および「視野(度)」で示されている。
(2)肉眼での立体的識別は、一般に約450メートル角(450mに対する両眼の視線が挟む角)から訓練しても1,300メートル角程度に限られるが、双眼望遠鏡(以下双眼鏡と呼ぶ)を用いれば著しく高めることができる。例えば、7倍の双眼鏡で、対物レンズの中心間隔が接眼レンズ間隔(瞳孔距離に等しい)の1.8倍の場合には、肉眼での立体視の限界距離約450mから約5,700mになる。
(3)光学機器を覗く場合には、その射出瞳(アイ・ポイント)に眼の瞳孔(入射瞳)を置かねばならない。双眼鏡のように両眼を同時に使う場合は左右の瞳孔がそれぞれの射出瞳に合致させることが大切である。したがって、双眼鏡使用の場合には左右射出瞳間の距離である眼幅を正しく調節し、眼の瞳孔距離に正しく合わせて使用しなければならない。
(4)一般の双眼鏡は、通常の昼間の明るさの眼の平均的瞳孔径は3〜5mmであることを考慮して設計されている。だから、夜間における眼の平均的瞳孔径7mmではこの一般の双眼鏡は時すぎて夜間には適さない。
夜間用の双眼鏡としてはD>≧7×Γの条件を満たすことが望まれる。そこで、広く航海用に使用されている「7×50」の双眼鏡について検討すると、上式においてΓ=7であるからD=49となり、上式の条件をほぼ満足するのでこの双眼鏡は夜間用としても適していることになる。
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