
圧は心臓の収縮力を反映することは周知の事実である。心臓の収縮力は心拍出量と直接関係するため、収縮期血圧は心臓の大きさに関係のあるCTR,RV5とより明らかに関連するということを、今回の研究は示している。
今回の研究には、議論するべき点がある。まず、情報は10年間にわたって行われた健康診断によっているということである。必然的に、複数の記録が同一人から得られ得る延べ人数による調査ということになる。しかし、2つの記録は少なくとも1年の間隔を置いて得られたものであり、これは今回の測定値の変化を見るには十分な長さと考える。次に、我々は高血圧など関連した疾患の患者やそれらの病気に対して治療を受けている参加者を除外しなかった。そのため、このような条件が与える影響については除外して考えることができない。しかし、今回の研究は実際の地域集団において、値の絶対値よりもむしろ測定値間の関係に重点を置いたものである。したがって、全員を対象にしたことは許容されよう。
一方、今回の研究にはいくつかの有利な点がある。それは、胸部レントゲン写真が研究期間を通じて同じ機器で撮影されているため、測定機器によるバイアスが生じる可能性が少ないことである。そして、この研究は一力所で行われたため多施設研究でみられる施設間バイアスがなく、CD,TDそしてRV5の測定は1人が行ったため、測定者バイアスがない。ただし測定者自体の再現性に関する誤差変動は検証されていないが、計測数が多いことから結果は信頼できるものと思われる。また、測定者は対象地域外の看護婦であったため、受診者の情報についてはブラインドであり、情報バイアスはない。
結果として、血圧、CTRそしてRV5の間には有意の相関があった。年齢と肥満はこれらの交絡因子であり、本研究でみられた性差の主な要因の可能性がある。血圧では、収縮期血圧が拡張期血圧に比べてCTRおよびRV5とより強い相関を持っていた。
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