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おわりに

(財)ライフ・プランニング・センター理事 紀伊國献三

 

『医療と教育に関する国際セミナー』も終わりの時を迎えるに至りました。今回のテーマ「変わっていく医療システムの中で“いのちの質”をどう高く保つか」には大事なキーワードが隠されていると思います。1つはやはり“変わっていく”ということです。私たちの周りではいろいろなことが変わりつつあります。そして、これからも継続的に変わっていきつづけるでしょう。そういう実情を私たちはよく知っておかなければなりません。そして、そういう状況の中で私たちが目指すものは一体何なのかということはっきりと見極めなければなりません。それは利用者のQOLを高く保つことです。
知識・技術が急速な勢いで変わっています。たとえばインターネットの普及によって私たちが世界中の人々と即時に交信することができるようになるということなど数年前は夢にも考えられないことでした。しかし、そういう中にあっても、私たちの使命はやはり人々の苦痛を癒すことなのであり、これこそが私たち医療担当者に与えられている普遍的な特権なのでもあります。
私たちが今回見出したキーワードは、この多面にわたる変化に対していかにフレキシブルに対応することができるのかということです。それには相手があります。チームワークという相手、そして利用者、利用者の家族、あるいは国民などさまざまな相手との双方向のコミュニケーションがいかに必要かということです。そして、最終的にはいつもその変化に対して発展的に対応していかなければならないということです。広瀬先生は、医学教育こそが変わらなければならないといわれました。それに加えて、看護教育や医療担当者の教育もそして国民自身の教育もまた変わらなければならないと思います。
このセミナーにおいて、私たちはいろいろなことを学び、いろいろなことについて議論をしました。これが本当に私たちに問われるのは、人々にとってのQOLを高く保つことができたかという私たちの実践なのだと思います。
外国から来て下さった講師の先生、国内のパネリストの方々、そして何よりも最後まで熱心に参加して下さった会場のみなさまに感謝し、そしてまた、私たちのコミュニケーションを可能にして下さった同時通訳の方、そして準備のためにいろいろ尽くして下さった関係者の方に感謝して今年のセミナーを終わりと思います。またお会いしましょう。

 

 

 

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