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パネルディスカッション

司会 日野原重明/植村研一/柿川房子

 

社会情勢の変化とともに医療も変わる

日野原 Aグループのパネラーである中村めぐみさんに、QOLをPOS(Problem Oriented System)との関連でどう捉えるかについて改めてここでお話ししていただきましょう。
中村めぐみ グループAでお話ししたものと重複するかもしれません。まず、看護計画の書き方ですが、私どもの病院では記録用紙を改めて、いままで「看護目標」という言葉を使っていたものを「患者が望む目標」としました。「看護問題」は「患者の問題」としました。そして若いスタッフに書き方を指導するときには、患者を主語に記述するようにといっております。意味はわかっていても、どうしても看護上の問題になってしまうので、あくまでも患者が主体であるということを強調するために改訂しました。これ(略)は痛みのある患者さんに対する記録用紙ですが、私の病院では「疼痛管理のためのケアプラン」、それから「疼痛アセスメントシート」「疼痛フローシート」という3つの用紙を新しく作成しました。ここにあるのは「疼痛フローシート」ですが、患者さんが自分で書ける場合には、自分自身で記入してベッドサイドに置くようにしています。これがベッドサイドにあることで主治医、担当医、日々代わる受持ち看護婦もその情報を共有することができますし、最近では申し送りのときでもこの痛みのスケールをものさしにして話し合えることができるようになりました。
QOLのアンケートですが、とくに造血器腫瘍の患者さんは長期にわたり化学療法を行うことが多いのでQOLアンケートを行い、入院中の患者は2週間に1回、外来通院中の患者に関しては1か月に1日、患者さん自身にチェックしてもらっています。そのあとにその患者さんをよく知っているナースが再度それを見て確認して、自分たちが患者さんを見て感じているQOLとの差を見ることにしています。看護婦からは患者さんはよく眠れていると感じていても、患者さんは「あまりよく眠られない」というところにマルをつけていたりすることがあるので、データをとることより、医療者の感じと患者さんが考えていることとの差異を見るために行っているものです。
最近では、がん専門看護師とリエゾン専門看護師と共同で、「がんとともにゆったり生きるプログラム」というのを開催しており、これは全5回のコースですが、患者さんが自由に自分たちの気持ちを表出する場を提供しています。ここからは、いかに患者さんたちが医療者との十分なコミュニケーションを求めているかというのがよくわかりました。
日野原 医学がいかに進歩しても死を止めることはできないけれども、病気の状態を長く保たせることはできるようになります。しかし、究極的

 

 

 

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