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グループA

医学におけるQOL

医師および臨床看護専門家・宗教家・生命倫理学者

 

Robert Kastenbaum,Ph.D.
Richard L.Golden,M.D.
廣瀬輝夫
植村研一 浜松医科大学脳神経外科教授
福間誠之 明石市立市民病院院長
西村哲郎 聖路加看護大学講師・チャプレン
中村めぐみ 聖路加国際病院内科病棟婦長

 

QOLをいかに教育するか

植村(司会)グループAは医学に関するQOLを論じることになっております。QOLの実践について話すだけではなく、QOLという考え方を日本全国に広めなくてはなりません。とすると教育が関係します。医学部でも看護学校でもともかくQOLという新しい考え方をどうやって教育していくのか、それから卒後教育でQOLをどうするのか、あるいは医師会などで時代の流れを感じとって、インフォームド・コンセントとかQOLについてどう勉強していくか。アメリカではこういう考えが進んでいるのでしょうから、お話をお聞きして参考にしたいと思います。
まず最初に、講師お一人ずつからお話ししていただきたいと思います。
Golden 教育の現場である医学部の学生へのQOL教育についてお話ししたいと思います。
まずQOLの定義をします。QOLという言葉は軽々に使われたり、格好がいいからということで使われたりするのですが、しかし何となく意味はわかっているけれども、本当のところはどうなのだろうかということを考えさせられます。定義は簡単であればあるほどいいと思っていますので、私の定義は、医学におけるQOLというのは「自分が人生において、そして自分の生活において満足しているその度合いを指す」としています。もっと複雑な論理的な概念を捉えた定義としては、一個人(自分もしくは患者)が自分のおかれた状況、たとえば病気などの状況にあって、自分はどんな生活ができるか、どんな人生が歩めるのか、あるいはそういった条件の中で、自分の歩んでいる人生は本人にとって本当に生きる価値があるかどうかを考えることだと思います。
まず最初に、この見方に基づいて人道的な思いやりのある医学生をどうやって選び、どうやって教育するかについてお話ししましょう。患者のためのQOLを考える場合には、医学部の学生に正しい教育をしなければなりませんし、私たちとしても人道主義的な慈悲深い、思いやりのある医師を育てていかなければなりません。それをどうやってすればいいのでしょうか。
まず、医学部学生の面接試験のさいには、一見その学生の動機づけ、知能、能力を測るのはそう困難なことではないように思われるかもしれません。ふつうは医学部の学生というと筆記試験・面接試験などたいへん複雑なプロセスで選ぶのですが、必ずしも試験結果に基づいていちばん適性のある学生を選んでいるとは思われないのです。たとえば成績だけで人を選びますと、アメリカでは

 

 

 

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