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2.?型糖尿病

さて、?型は一方向性に病気はすすんでいきます。顕性糖尿病期に入った?型が軽症糖尿病に戻るということはないのです。ところが?型の糖尿病は同じように前糖尿病期→軽症糖尿病期→顕性糖尿病期とすすんできますが、相互に移行があり得るという点が非常に特徴的だと思います(表2)。
?型糖尿病の病態も当然進行的でありますが、治療効果によっては元に戻すなど病態の全体に影響を及ぼすということがありますので、そういう意味では?型の自己免疫型糖尿病と非自己免疫型といわれる?型の糖尿病とは大きく異なるところです。
その理由は、遺伝的な体質が決めている異常として2つの生体現象があるからです。1つは末梢でのインスリンの効きめが悪いという体質と、もう1つは膵臓のB細胞からインスリンが分泌されますが、その分泌のしかたが長期にわたって過剰に分泌されるという時期がありますから、この時期と軽症糖尿病はほとんどマッチするのです。あるいは全体としてインスリンが遅延増大型の反応をしているということもこの時期に見られる特徴なので、少し努力をして食生活、運動への配慮などがなされると、病態は改善しうる、つまり軽症な糖尿病状態は糖尿病として認識し得ない前糖尿病期まで戻すこともできるという意味です。

 

3.肥満の影響

もうひとつこの?型の糖尿病につきものなのは肥満です。インスリン依存型糖尿病、すなわち自己免疫型では肥満という言葉はどこにも出てこないのですが、この?型の糖尿病では肥満、すなわち体脂肪の過剰な蓄積が、この病態に非常に強い影響を及ぼします。糖尿病の遺伝と肥満を引き起こす遺伝の仕組みは異なりますが、肥満の存在はインスリン非

 

 

 

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