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の実態でもあり、40歳以上の4人に1人がケアの対象になるというわけですから、皆さんが接する中高年者のうち少なくとも4人の患者さんを見れば、そのうち1人には何らかの糖代謝レベルの異常があるという時代になっている点を理解していただきたいのです。

 

病状のすすみ方(表2)

1.?型糖尿病(IDDM)

自己免疫型糖尿病(?型)のすすみ方は一方向性です。
このタイプの糖尿病がいままでどのようにして診断されていたかというと、膵臓のB細胞がほとんど崩壊し、破壊し尽くされた状態で著しい高血糖を示した状態を見るというものでした。確かに既往歴をよく聞くと、1ヵ月前のあの日から喉が乾いて、お小水がたくさん出てという訴えをする若い患者さんに接することがあると思います。それはちょうどこの時期に至ったところで症状が出てきたということです。
けれども1日や2日で膵臓のB細胞が壊れてしまうなどということはないのです、膵臓のB細胞の7割ほどが壊れた時点ぐらいから、インスリン分泌不全による著しい高血糖が出現してきます。しかしそれより以前から徐々に膵臓のB細胞は壊れているということです。それが70〜80%に達するまでの間は実は軽い糖尿病状態で過ごしているということがあるわけです。現に中高年でインスリン非依存型糖尿病として診断されたような人たちは、この時期で診断されているわけです。飲み薬を飲んでも効かないということから高血糖が持続し、そこで注射をしなければならないという判断をすることになるのですが、この軽い糖尿病の時期に、実は自己免疫異常のマーカーである抗GAD抗体が陽性になっていることがわかってきました。

 

 

 

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