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素因があっても発症するかしないかが分かれてきます。ですから、このインスリン非依存型糖尿病の病態はきわめて複雑でもあるわけです。
そういうことを考えると、目の前にした糖尿病の患者さんは、若い人からお年寄りまでそれぞれ百人百様の顔をもっているといえるのです。同じ顔でも、若いときから年をとっていくまでの間に顔つきが変わっていくのと同じように、とくにこのインスリン非依存型糖尿病では軽い糖尿病の時期がある、あるいはそれよりもっと手前の前糖尿病期もあるという見方ができますので、これもこの病気の複雑さをさらに加速させているということがいえます。

 

3.臨床症状と見分け方

?型はインスリン依存性、?型は非依存性という臨床診断はありますが、ややこしいことは、自己免疫型ではあっても、長い経過の中で初めのうちはインスリン非依存型の糖尿病を呈している患者さんもいるということです。とくに20歳過ぎから一度も太ったことがなくて40代、50代で糖尿病が発病しだというような場合は、血糖はさほどには高くない、確かに糖尿病ではあるがインスリンを打たなければいけないというほどの状態ではないという臨床像ですから、当然インスリン非依存型糖尿病として診断されるわけです。しかし診断された時点では軽症だったという例であっても、やがて半年、1年という経過で見ていくと、インスリンを使わないとどうしても血糖のコントロールができないというようになります。
これは過去に多くの症例で経験されていたことなのですが、その症例が実はよく調べてみると自己免疫型の糖尿病で、非常に軽い時期でつかまえられたために、臨床的には軽症で、インスリン非依存型の糖尿病として診断されていたのです。ですから自己免疫型であれはすべて最初か

 

 

 

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