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これがヨーロッパ全域に広がっていきました。
この「カリタス」を英語式に読んだのが。“チャリティ”です。
日本語でよく“慈善”などと訳されているチャリティの本来の意味は、じつは“アガペーの愛”だったというわけです。
ですから、“ボランティアのこころ”の核心がアガペーにある、というのは、当然のことといえます。

 

ボランティア−生きざまの芸術

ここまで、“ボランティアのこころ”ということで、一緒に考えてみました。
「こころとあたまとからだのバランスがとれていること」といいながら、本書は、ずいぶん“あたま”でっかちな、言葉の洪水になってしまいました。
そもそも「ボランティアのこころ」とは、あたまで考え、言葉で定義するものではなく、一人ひとりの個性豊かなありかた、“生きざま”を通して見えてくるもののはずです。
そんなことに気づかせてくれたのは、ある現代書家の友人でした。彼は天才肌の有能な作家で、独自なスタイルが認められ、書家として名を知られるようになりました。
ところが突然、筆を欄き、しばらくネパールの山村でボランティアをしてくる、と日本を発ちました。
ひさしぶりに帰国したと思ったら、「ミカン農家を訪ねてくる」と、静岡へ直行。ヒマラヤの山間の村でものを運搬するのに、日本のミカン畑で見かけた手動の小型ロープウェイが最適と気づいた、というのです。その後、すっかり書家らしい生活から離れてしまった、と僕は勝手に思い込んでいたのですが、当のご本人

 

 

 

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