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で「自分のかたわれ」にめぐり会えたら、もう四六時中一緒にいることにこころを奪われて、とても神様や他人のことなどかまっちゃいられなくなった、というわけです。
英語で、配偶者を“べターハーフ”、つまり“よりよい半分”と呼ぶことがありますが、このギリシア神話に由来するわけです。
バラバラの“ふたり”が出会い、魅かれあう。もう、ぜったい離ればなれにはなりたくない。まるで磁石で引かれあうように、つねに一緒にいたい、というのがエロースの愛のかたち。これこそ、もっとも人間的で、素敵な愛のかたち、と古代ギリシア人たちは考えたわけです。

 

フィリアとは

つぎに“フィリア”の愛ですが、これはフィル(PHIL)というかたちで英語によく出てきます。たとえばフィルハーモニー、フィロソフィー、フィラデルフィア、フィリップ、フィリピン、最近ではフィランソロピーなどという、舌をかみそうな言葉も見かけます。
これらの言葉に共通するフィルのイメージを探ってみることにしましょう。
「フィルハーモニー」は、[フィル+ハーモニー(調和)]で、元来の意味は“調和を愛すること”。
「フィロソフィー」は、[フィル+ソフィア(知恵)]で、“知恵を愛すること”。これは哲学のことですが、明治時代には「愛智学」とも訳されたそうです。“フィロソフィー”の文字どおりの直訳だったわけです。
「フィラデルフィア」は、「フィル+アデルフォス(兄弟)+

 

 

 

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