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漁業、観光など金銭に換算できる被害には保証が考慮されますが、海洋汚染、生物への被害といった金勘定しにくい部分は不問に付して無視。犯罪や事故を起こしても、たいていは罰金、謝罪金、見舞金と、金で片づきます。「金銭で償いがっくものか」なんて、しちめんどくさいことはいいっこなし、というのがお約束。
ほんとに、これでいいのでしょうか。こんな制度にしばられて、人生のあらゆる価値を金額に換算しながらあくせくする毎日で、幸せな暮らしができるはずがありません。
こんなことをあえて申すのは、わたしたちのまわりを見まわすと、便利な道具であるはずの金銭がいとも簡単に人を支配し、奴隷にし、人の命をも奪っている現実があり、ちょっと油断すると、わたしたち自身もすっかりそれに巻き込まれかねないからです。

 

1円のために……

とくにここ10年、いわゆるバブルの悪夢に浮かされたこともあり、わたしたちは金銭中心の生活に不感症になったきり、いまだに立ち直れないようです。詐欺商法やギャンブルといった、いかにもアブナそうなところだけではなく、なにげない日常のなかでわたしたちは非人間的な生きかたへと追いやられています。
たとえば、町中にあふれる自動販売機。冷たい飲み物も酒の熱燗も、お好みしだい。選ぶのに困ってしまうほどの便利さ。それが表通りに面して何台も並んで真夜中燈々と輝く光景はさすがのアメリカでもちょっと見られません。でも、そんな自動販売機に問題はないのでしょうか。通行スペースを占領してしまったり、24時間、過剰なエネルギー消費をし、またコインさえ入れれば子供でも何でも買えてしまう問題などが取り沙汰されます。

 

 

 

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