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られる。わたしの問題意識が変わり、世界観が変わる、ということがあります。
この体験をきっかけに、環境を考え、人類の文明に思いをいたし、自分の生きかたを問い直し、その人の個人史が180度転換してしまうような、コペルニクス的転回のきっかけにもなりうるのです。
つまり、“世界史的な視点”と同時に、その経験を通して自分の世界がすっかり変えられる、という“個人史的な視点”が兼ね備わっているということです。
「世界の歴史」というと、なにか壮大な出来事の積み重ねのように思ってしまいますが、じつは、わたしたちの日常とかけ離れて、どこか別に存在するものではないはずです。わたしたち一人ひとりの生活が編み出す個人史が、全体としてうねりとなって世界史を織りなしているのです。
そしてボランティアこそ、個人史と世界史の二つをピタリと一つに張り合わせる力となるのです。
個人的になにげなく始めたボランティア活動でも、それを通してまわりがちょっぴり違って見えたとき、もしかするとわたしたちは世界史的な出来事、新しい時代の到来をいち早く目撃しているかもしれないのです。
さて次に、まず“ボランティア”という言葉の意味を、語源にさかのぼって確認することから始めて、その原点ともいえる“ボランティアのこころ”に迫ってみたいと思います。

 

“ボランティア”とは

ボランティアといっても、もちろん、そういう特別な組織や、

 

 

 

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