新しい時代の到来
ボランティアという言葉が一般に広く知られるようになったのは1995年1月の阪神大震災以来でしょう。連日テレビに深刻な被害状況が映し出され、行政の対応がなんともはがゆいなか、若者を中心とした多くのボランティアが活躍する姿は一抹の救いであり、希望でした。
その2年後、1997年1月、日本海のロシアタンカー事故で大量の重油が流出し、またも行政の対応が後手にまわりましたが、何万人というボランティアが全国から駆けつけ、厳寒の波打際で固まった油をすくいとる姿が報道されました。老若男女のボランティアのなかには、神戸の仮設住宅から駆けつけた人たちもいたということです。
どうやらこの国にも、ボランティアが理解される時代が急速にやってきたようです。もっとも、頼りになるのが行政府よりボランティアだというのは、なんとも寂しいかぎりですが……。
わたしたちの日々の生活を見直すと、たとえば環境やエネルギー、食料問題にしても、高齢化、教育、医療問題にしても、不安材料だらけです。そして、これまた政府や役人に任せておけばどうにかなる、とはとうてい思えません。ボランティアの存在は、これからますます大きなものになっていかざるをえないでしょう。
原点に返って考えてみれば、「自分たちの生活を自分たちで支えていく」、というのは人間として基本中の基本です。その意味では、ボランティア活動は行政の穴埋めではなく、人間らしい生きかたを求めつつ、共に支え、助け合う新しい社会の形を模索する積極的な努力なのではないでしょうか。
一人ひとりが、時間なり、労力なり、資力なり、持てるものを
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