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国際病院へは間に合わないから救急車で近くの武蔵野日赤病院へ行くようにと指示して、その患者さんを助けることができました。一般の人でも教育を受けさえすれば救急の場面でも冷静に対応することができるのです。病院で急に悪くなっても、ナースは冷感がどこにあったかなどと書かないことが多いのではないでしょうか。血圧が下がっても冷感がなければ自然にまた上昇するのです。手足が温かくて血圧が下がっているのは全然心配がない。手足が温かいのはまだ心臓に余力があるからです。こういう知識を知った上で、冷や汗が出たような場合は、出血か何かがあるからすぐに医師を呼ばなければならない。患者が苦しがっているからということだけではないのです。

 

全身症状に目配りを

それ以外にはチアノーゼが必ず見られますが、指の色、唇の色、爪の色を見る、顔つきを見る。顔つきというのは瞼です。眼瞼が少し垂れて、半分目を開けているような状態かどうかということです。眼球のピントも合わない。視点を合わせることができず、斜視の状態になり、目が空ろになる。眼球の角膜が乾いていて、死んだ魚の目のようになって、何か汚れたような感じがしてくる。
そして息づかいです。息が浅くなって、顎が少し下がってきて、深呼吸ができず、呼吸も息がずっと吸えないような状態です。このような状態はもう死が間近ですから、家族や親しい方に絶対に帰っていいと言ってはいけません。
このターミナルの様子をみなさんはよく覚えておいてください。血圧はまだ大丈夫、脈はしっかりしているというだけではあてにはならないのです。脈は頻脈と徐脈と両方あります。痛みがひど

 

 

 

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