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につけて、患者を孤独のうちに見送らないようにするのです。医師は一日のうち二度か三度しか患者さんのところにはきませんし、それも短時間のうちに引き揚げてしまいます。しかし、ナースは途切れることなくケアを継続しているのです。タ一ミナルのバイタルサインを正確に読みとり、医師もしくは家族に適切なアドバイスをする、これらがナースによってきちんとなし遂げられなければならないのです。
バイタルサインは、脈拍、呼吸、体温、血圧です。バイタルサインという本来の意味は、“その人が生きているという症状’’ということですが、ターミナル時にはこれらの徴候以外にも、もっと細かいチェックが必要となります。

 

チアノーゼとショック

まず皮膚を見ることです。チアノーゼがあるかどうかです。ところが、腸管からの出血やがん細胞が骨髄に浸潤して貧血になっている場合には、心不全がおこってもチアノーゼは現れません。皮膚に必ず触わってみることです。冷たくてねっとりとして、まるでおもちに触わっているようであれば、それは皮膚の表面の血管に血液が通っていないということですから、チアノーゼがなくてもショック状態なのです。心臓や腎臓などの中枢器官に血液を回すために、手や足にまで血液を回す余裕がないからです。血圧は必ずしも下降しなくてもこれはショック状態なのです。逆に、血圧が下がっても手足が温かければ心配することはない、意識はすぐに回復するはずです。
2週間前に、乳がんが再発のあと、貧血がひどくなったので骨髄を調べたら白血病があったという患者さんをみました。子供の

 

 

 

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