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えず進行する慢性疾患で亡くなる患者の臨死ケアであっても、ナースー人でもこれを行うことができますし、また実際にそのような例が年々ふえつつあります。訓練されたナースには、そのようなことができる能力があるからです。
しかし、日本ではそのような優れた臨床能力をもつナーススペシャリスト、アメリカでナースプラクティショナーと呼ばれるようなハイレベルのナースはやっと最近養成され始めたばかりなので、医師が死の判定をしなければならないし、薬の処方や注射の指示などもいつまでも医師に頼らなければならないということになっているわけです。
いままで医師だけがやっていた技術をナースに渡す了解を医師一般に求めるには、日本ではまだかなりの年月を要するものと思います。しかし、ナースがこれまで以上に格段と高いレベルの臨床能力を獲得すれば、医師とのチームワークはもっと円滑になされるでしょう。ナースは看護の分野だけを考えるのでなく、医学と看護とが交差し合っている医療方面の知識と技術をもっと習得していかないと、これまで述べたようなナースの在宅ケア分野での発展は望めません。

 

生をいとおしむ

シェークスピアは、死を“necessary end”といっています。人間は、死はいずれ必ずくるものだと承知していても、いつまでも生きつづけたいと願っています。シェワイツァー博士は、「人間は生きたいことを望む生きものに囲まれた生きものだ」といいました。私たちのそばにいる動物、鳥、昆虫などはすべて生きたいと願う生物ですが、それらのものに囲まれている人間がまた生

 

 

 

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