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使用が禁忌とされてきましたが、今日のホスピス医学では、呼吸困難という症状のコントロールには、少量のモルヒネは適用とされています。このようにして、ナースは1日3〜4名の在宅療養の患者を訪問しているのです。
この状況を見ると、日本で在宅ケアをするナースの仕事に比べると、アメリカではかなりのことがプライマリ・ケアの一つとしてナースの手でなされており、日本のはるかに先を歩んでいることが痛感されました。

 

在宅でのナースによるみとり

日本のホスピスまたは緩和ケア病棟が難治性の諸疾患患者を対象とするようになるには、これからまだ1O年はかかるのではないかと想像しますが、このシアトルでのようにナースが患者を在宅でケアをするケースは確実にふえてくるものと思います。したがって、これまでの保健指導者としての訓練だけを受けていたナースは、臨床看護の経験が少ないので、訪問看護をするには不向きの人が多いと思われます。看護学校を出たあと必ず何年かは臨床看護に従事して、そのアートを体得した人でないと、訪問看護はできません。病院にあってはナースはケア上の難問について医師にすぐ指導が受けられますが、在宅看護ではせいぜい医師と電話などで打ち合わせをする程度のことしかできません。ですから、ナースは容体の刻々変わる患者のバイタルサインをもっと深くかつ十分に理解すると同時に、心のバイタルサインまでを読み取ることができてはじめて、ターミナルにある患者の在宅ケアの専門家となれるのです。
アメリカやイギリス、北欧などでは、治らない病気をもち、絶

 

 

 

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