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図6. CO2負荷による代謝性因子の経時的変化(腎による代償)

 

ともあります。低い換気量のため肺胞でのガス交換がよくいかなくて、肺胞のCO2が高くなっているということです。いいかえれば血中の二酸化炭素が排出できないということです。Paco2がたとえば急に80mmHgくらいになりますと、昏睡になることもあります。しかし、それがじわじわと起こってきた慢性の場合には、そうはなりません。
ついでなので腎臓での代償について触れます。
Paco2が上がってしまって、大体6時間から8時間くらいたちますと、血液中のHCO3-イオンがずっと上昇してきます。これは腎臓の代償といいますが、それで血液中のPHを代償的に正常化するわけです。ですから、急性の場合にはそれがうまくいかないので、PHは血中のPaco2が上がると酸性、すなわちアシデミー(酸血症)になってしまって意識障害などを起こします。しかしこれが慢性的にだんだんときた場合にはHCO3-によって大体5〜6日で代償され、PHがほぼ正常に保たれるようになります(図6)。ですから、3か月も4か月も、あるいは数年にわたって低換気を続けている入はCO2が70〜80?Hg近くなっていながら、PHがほぼ正常(7.40前後)に保たれています。Paco2が高いから意識障害が出ているのではないかと思っても、案外、なんともないということです。

 

 

 

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