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意思を尊重したサービスとは

 

こうした人間が自立をしていく。とくに地域の中で人間が自立をしていくことをいかにして可能にするかというのが、今日の在宅サービスの課題です。ただ出ていけばいいのではないのです。出ていくということはたいへんなことです。訪問看護にしても介護にしても、その言葉がそれを語っています。介護の“介”というのは介入する、入り込むということです。人の家に入り込むのです。警官でさえ、捜索令状がなければ家に入れないのです。それを訪問看護婦や、ホームヘルパーは捜索令状なしにっかつかと家の中へ人っていくということです。そして“護”は守るということです。つまり、命と生活を守り、そしてそれを実現していかなければならないわけです。
こうした介護にしろ、看護にしてもたいへん重い、大きな役割を負うわけですが、それは地域にいる一人の住民の生活を守るためなのです。生活というのは、いまの私たちは断片的にしか守れていません。患者が病院に来る、診察を受ける、薬をもらって帰る。その患者がまた来なければ、この患者がどこで何をしているか、医師にも看護婦にもいっさいつかめないわけです。患者はまた次の開業医のところに行く。そうやって自分で線をつなぎながら生活を分断的にしていくわけです。

 

備えるべき資質

 

しかし人間の地域における生活というのは全体性が必要なのです。継続性が必要です。日常性を確保することが望ましいことで、その住民の生活の全体性を確保するのに在宅サービスが必要とさ

 

 

 

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