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進めることができるのかというのが、私ども一人一人にとっての人生の宿題でもあります。

 

共通するホスピタリティの概念

 

医師、弁護士、牧師は三つとも“し”がつきます。この三つの職業に共通点があるとヨーロッパで申しました。これに看護婦、ホームヘルパー、ソーシャルワーカーを加えても同じです。この三つの職業の共通点は、まず学歴が高いことです。そしてこの三つの職業とも社会的な尊敬を受けている職業です。もう一つ大事な共通点があります。それはこの三つの職業とも弱さに係わるということです。それぞれが肉体的、社会的、精神的弱さに係わる職業なのです。
弱さに係わりますと、弱さにつけこむことができます。弱さを利用することもできます。弱さを商売にできるのです。たいへんに大きな誘惑です。しかし、それをしない。そこでこの三つの職業には非常に厳しい職業倫理が求められるのです。弱さに係わるというのは、実に困難なことです。聖書に「強い者は強くない者の弱さを担うべきであって、自分自身を喜ばせてはならない」と書いてあります。
自分一人で生きていく。それを人間の強さというのではありません。人間の強さとは、弱さを担い、弱さとともに歩むこと、それが真実の人間の強さだというのです。この強さを持つ人間、その求められる専門職に従って私どもが歩むということは、非常に大きな課題を担うことです。
弱さに係わるものに医療があります。体を治す、治療する、つまりキュア(Cure)という言葉は、もともとキュレイという言葉から出てきました。キュレイ、つまり体を治療するという言葉

 

 

 

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