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パネル討論会

 

コーディネーター: 田口芳明
(奈良産業大学経済学部教授)
パネリスト: 橋爪紳也
(京都精華大学人文学部助教授)
桝井二郎
(神戸市産業振興局次長)
村上和子
(サンテレビ編成局参事)
ブルース・マクミラン
(バンクーバー観光協会セールス/市場開発部部長)

 

 

○田口
先ほど倉光先生から非常に、印象深いお話を頂戴したわけでございます。現在、関西国際空港も予想以上の発展を続けておるようでございます。またこの神戸がいよいよ新しい発展を始めたというこの時期に当たりまして、このような都市観光シンポジウムを開催することができました事を非常にうれしく思いますし、またコーディネーターとして光栄に存じております。
「魅力ある都市のあり方を考える」ということが今日の副題となっております。そこで今日は個々の施設あるいは観光名所というレベルを超えまして、都市のあり方に直接関わるような観光の方向というものを考える機会に致したいと思うわけです。
今日ここにご参加いただいておりますパネラーの方々は、それぞれの分野で主導的な役割を果たしておられる方々ばかりでございます。時間をできるだけフルに活用いたしまして、有意義なシンポジウムにしたいと思います。
それでは、村上和子さんから最初のお話を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

○村上
村上和子でございます。
今日は、「アジア太平洋交流時代の魅力ある都市のあり方」ということでお話をさせていただくのですが、倉光先生同様、私も特に専門家ではございませんが、ツーリストとしての立場から、それから地元の局というか、この建物の中に「サンテレビ」というテレビ局がございますけれども、そこのスタッフとして働いておりますので、地域の魅力をもっと皆さんに知って頂きたいという観点からお話をさせて頂きたいと思っております。
私が初めて外国に旅行に出掛けましたのは、今から25年前で、1ドルがまだ360円の時でした。その頃と言えば、海外の情報というのもメディアの中で紹介されることというのは非常に少なくて、メディアで紹介された、その雰囲気だけでもとてもエキゾチックで、「わー、訪ねてみたい」という感じで、例えば旅に出て、映像で紹介されたり、写真で見たことのある同じ風景がその国にあるだけで感動してしまったりというような状態がその頃はまだあったのではないかと思います。ですから「驚きに出会うカルチャーショックの旅」というのが25年前の私の体験でございました。
でも、この25年間の間というのは世の中も変わりましたし、そしていろいろな国の状況も変わってきました。ですからこれから情報化時代といいますか、いろいろなメディアで紹介され、その国に行かなくてもたくさんの擬似体験ができるようになった時代というのは、私が25年前に体験したような、そんな驚きではちっとも魅力ある都市の有り様ではなくなってしまったのではないかという感じさえします。ですからただそこに行って、そんなものがあるという様な表面的なものでなくて、もっと深く内面に入ったものに触れる旅ということが主体になってくるのではないかと思います。
その内面というものがどんなものかというと、その街がどんなこだわりを持って人々が暮らしている街なのか、街のこだわりに会ってみたいという思いがたくさんいたします。
例えば、こだわりというのは、その街に住む人々が何を大切に暮らしてきたかという事。
例えば、時としてそのこだわりというのは美しい街並みであったり、環境問題であったり、産業であったり、それから教育、福祉、食べるもの、いろいろあるかと思うのですが、そういう様なこだわりに会いたいということです。
ちょうど今の季節、去年なんですが、私は5回目か6回目になるのですが、タイという国に行きました。それはなんで行ったかと言いますと、丁度フラワーコーディネーターといって、お花を扱っている先生から「タイの花市場を見に行きませんか」というようなお誘いを頂いたものですから、うれしくて行きました。花市場を見ました。それ

 

 

 

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