

官官分権から官民同権・男女同権へ
樋口恵子(東京家政大学教授)
地方分権は、明治維新以来の中央集権を改革し、時代にふさわしい政治・行政システムをつくるのに不可欠と言われる。そのとおりに違いないが、ことは具体的な事務の権限、規制や許認可などにかかわるから、うっかりすると国と県、あるいは県と市町村の権力のぶん取り合戦と誤解されかねない。地方分権推進について、法律が生まれ、私たち推進委員会が三月に出した中問報告、年末の報告もマスメディアには、おおむね好意的に受けとめられている。中央官庁の抵抗はつづくだろうが、機関委任事務廃止の流れをもう止めることはできない。にもかかわらず、世論は「分権」に湧いていない。それは、やはり国と自治体の上のほうで行われる、住民の頭越しの「官官分権」でしかないと思われているからだ。
私は、地方分権の基本精神は、憲法だと思っている。中学生として戦後の変革を見てきた私の世代にとって、選挙について新鮮な変化が二つあった。一つは、戦前戦中は父親だけが出かけた投票に、母親が行くようになったこと。もう一つは、「天皇の官吏」たる内務省の役人が任命されていた都道府県知事はじめ自治体の長を選挙で選ぶようになったことである。そのどちらも、大日本帝国憲法になくて、新しく日本国憲法に示されたものだ。男女同権と地方自治すなわち地方分権は、憲法の精神を具体化する双子の空ものだと私は思っている。
この一年半、全国各地の分権に関する集会へ出かけたが、まだ住民の関心はそれほど高いとは思えない。とくに女性の集まりがよくないし、主催する側も女性をどれだけ視野の中に入れているだろうか。官官分権では、性別で言えば男男分権なのだ。今、政策決定の場にいる側は、日本は国から市町村に到るまで、首長、議会、行政の三役はじめトップたち、審議会、行政委