地方分権推進フォーラム’96 in ”あおもり”
中野正志(全国知事会 調査第一部長)

フォーラムの趣旨
去る、5月14日、青森市において青森県と地方六団体及び(財)自治総合センターの共催で、「地方分権推進フォーラム’96 in“あおもり”」が開催されました。
このフォーラムは、昨年の宮城、岡山、東京に続き開催されたもので、本年度も、今回の青森に加え、8月には長崎、11月には静岡と三県での開催を予定しております。
本年3月末には地方分権推進委員会の中間報告が内閣総理大胆に提出され、機関委任事務制度の廃止をはじめとする地方分権型行政システムの構築に向けての積極的な提言が行われました。
今後、同委員会では、地方分権推進法に基づく具体的な指針の勧告を年内にも内閣総理大臣に対して行うことを予定しておりますが、こうした分権への取組みは、明治時代以来の我が国の中央集権型の行政システムを大きく変革させようというものであり、実現のためには、分権に対する地域からの盛り上がり、そして国民的議論が全国各地で展開されることが何よりも必要となっております。
このため、フォーラムの内容につきましても、幅広い住民の方々に地方分権に関心を持っていただき、理解と協力をいただくことに重点をおいて、講師、パネラーの先生方には、身近で具体的な問題を中心にお話をいただきました。
当日は地方自治体関係者はもとより住民の方々など750人以上の参加者があり、フロアーとの意見交換も含め活発な議論が行われましたフォーラムでは、主催者を代表して、木村守男青森県知事の挨拶、熊本県立劇場館長の鈴木健二氏の「地方分権と地域文化の創造」と題した基調講演が行われ、その後、「地方分権の実現で真のゆとりと豊かさを」をテーマにパネルディスカッションが行われましたので、その概要をご紹介します。

1. 基調講演「地方分権と地域文化の創造」
基調講演は、NHKを退職後、熊本県立劇場館長として、また評論家として活躍されている鈴木健二氏から、地方分権を実りのあるものにするために、地方自治体の行政は、どうあるべきか、何をなすべきかを中心に、熊本県下で伝承芸能・文化の振興を進めてきた中での体験などを織り交ぜながらお語いただきました。
その中で、まず指摘されたのは文書主義から現場主義への転換の必要性です。江戸時代以来続いた村の神楽が過疎で相い手がいなくなったにもかかわらず、文書士は伝承されているという事例などをあげ、公務員が文書に頼るのでなく、現場に立ってその情報に基づき判断が行われる体制が作られねば、分権は単に法律上の手続きが変わるだけに終わると述べておられます。そして、伝承芸能の受け継がれている地域は、非行やいじめが無いという調査結果から、かつての日本人は「心」の拠り所が地域にあったこと、地域の子供は地域で育てるという不文律があったことを上げ、地域の人々の心のつながりの重要性と、そこから人々が自分の「まち」を素晴らしいという実感を持つというところに地方分権の基礎があるとしておられます。また村おこし、町おこしにあたり、人々の心を奮い起こすための文化活動への投資が必要であることを指摘するとともに、地方分権を形だけに終わらせないために、自治体は絶えず現場から現状を反省し地域の人々に何ができるのかを考えるところから出発すべきであると結ばれました。
2. パネルディスカッション「地方分権の実現で真のゆとりと豊かさを」
元朝日新聞編集委員で(株)地域活性化研究所代表の川島正英氏をコーディネーターに、木村守男青森県知事、新藤宗幸立教大学教授、岩崎美紀子筑波大学助教授、小坂郁夫野辺地町長、大道寺小二郎青森経済同友会代表幹事をパネリストとして、次の項目を中心にパネルディスカッションが行われ、多彩で活発な議論が展開されました。
(1)分権化社会のイメージ
岩崎先生は、分権は、自分のこと