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新しい文化のまちづくり

溝口進(富山県福野町長)

 

富山県の南西部、散居村で有名な砺波平野のほぼ中央に位置し、人口約15,200人、古くはその町立でより南砺地方の交易の中心地にある「市の里」として栄えてきたのが福野町です。
毎年8月下旬、この小さな町が熱く燃えるフェスティバルが開催されます。「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」。世界的なヒット曲「スキヤキ・ソング(邦題:上を向いて歩こう)」にそのタイトルをあやかったこのワールド・ミュージック・フェスティバルは、「異文化交流」をそのテーマに、音楽をはじめとした世界各地のさまざまな民俗文化を体感するものです。それまで個別に活動してきた町の若手5団体が、まちの活性化の旗印のもと、一つになって取り組んだのがこの「スキヤキ−」でした。一過性の音楽イベントに終わらず、アーティストが町に滞在し、コンサートのほかにも料理教室やワークショップを通じて、町内外からの参加者やスタッフのみなさんと交流するのが特徴です。
この舞台となっているのが、平成3年3月、生涯学習の拠点施設としてオープンした「福野文化創造センター」。円形劇場ヘリオスを中心に各種展示スペースや図書館を合わせ持つこの複合施設の誕生は、その特色あるソフト事業の展開によって町にさまざまな効果をもたらしています。私はこれをヘリオス効果と呼んでいますが、一つは生涯学習の気運が住民のみなさんの間に広がったということ。そして一つは、この「スキヤキ−」に代表される新しい文化の創造です。
この「スキヤキ−」では、企画・運営のノウハウを作り上げるための人材育成の観点から、平成4年から、ワールド・ミュージックの本場フランスのアングレム市における先進的なフェスティバル「ミュージック・メティス」とのスタッフ交換を行っています。これが契機となって、平成6年から地元の書道家や邦楽家がフェスティバルに招待され、日本文化を披露し絶賛されました。私も昨年、現地でアングレム市長にお会いする機会に恵まれ、文化交流だけにとどまらない幅広い相互交流の意志を確認することができました。
また、「スキヤキ−」がもたらしたものの中でも、特筆すべきは日本初の「スキヤキ・スティール・オーケストラ」の誕生でし。よう。これまで2度にわたるスキヤキ公演がきっかけで、昨年、カリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴ共和国からスティール・バンド「レネケイズ」のプレイヤーを招き、「スティール・ドラム」教室を開きました。ドラム缶から作ったとは思えないほど豊かな音色を響かせるこのスティール・ドラムに魅せられた受講生たちが結成したスキヤキ・スティール・オーケストラは現在、各地で公演活動を行うまでに成長しています。毎年2月にトリニダードで開催されているスティール・バンドのコンテスト「パノラマ」への出場を目指す彼らに、私も熱いエールを送りたいと思っております。
国際社会が異なる文化との共存・共生を目指すものであるならば、まさしくこの「スキヤキ−」は、そのための交流の場をみなさんに提供していると言えます。このたび、このスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド事業が文化庁の「文化のまちづくり事業」に取り上げられました。これによって、各方面に広がるさまざまな交流が、より発展していくことを切に願っているところであります。

 

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