コミュニティ防災の推進
木幡浩(自治省消防庁防災課災害対策官)
1. 阪神・淡路大震災とコミュニティ防災
都市化の進展の中で、地域コミュニティにおける近隣関係の希薄化が指摘されて久しくなりますが、昨年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、地域コミュニティにおける相互扶助の重要性を改めて認識させてくれました。
至る所で生き埋めやガレキの下敷きになった人の救助が必要となる一方、同時多発的に火災が発生し、消防をはじめとする行政だけではとても対応できないような状況となりましたが、地域住民が協力し合って、人命の救助や消火、避難所の運営などを実地し被害を最小限に食い止めるとともに、自分たちの避難生活の安定を図ったのです。
そうした事例は数多く報告されていますが、数例をあげると、まず、神戸市長田区戸崎通2丁目では、自治会長らの呼びかけで、燃えやすい軒下の日除けや暖簾、ポスターなどをはずす一方、集めたバケツや洗面器でリレー方式による消火活動を行い、この活動には200人を超える住民が参加しました。
また、西宮市甲陽園地区では、婦人防火クラブの有志が、日頃から協力関係にある婦人会、市社会福祉協議会約20名の積極的な協力を得て、避難者や希望する住民に4日間毎食500食分の炊き出しを行いました。
さらに、淡路島北淡町では、3,600世帯余の約3分の2が全半壊という被害を受けましたが、消防団が、住民と一体となって短時間で救助活動を行い、その結果、倒壊家屋の下敷きになっている被災者約300名はすべて救出され、行方不明者がないことも当日中に確認されました。
このような活躍を北淡町消防団が実施できたのは、消防団が普段から一人暮らしのご老人などを訪問し、その居所も承知していたことから、倒壊家屋のどの場所で生き埋めになっているかを素早く察知できるとともに、町内会など地域住民と密接な協力関係を築きあげていたことが大きいといわれています。
阪神・淡路大震災においては、こうした地域住民による自主的な防災活動が行われた地域とそうでない地域とでは、被害の大きさや避難所運営に相当の差異が生じる結果となりました。
阪神・淡路大震災では、社会活動に関心が薄いと考えられていた普通の若者を始めとする多くのボランティアが大きな注目を浴びましたが、一方で、コミュニティにおける自主防災の重要性が再認識され、「コミュニティ再興」の大きな契機ともなったのではないでしょうか。

2. 自主防災組織等の現況
地域住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織である自主防災組織については、年々少しずつながら増加を続けており、平成7年4月1日現在で、全国3,258市区町村のうち64.8%にあたる2,106市区町村で70,639組織が結成され、組織率(全世帯数に対する組織されている地域の世帯数の割合)は43.8%となっています。
これを都道府県別に示したのがP6の表ですが、東海大地震の被害が予想される地域、具体的には静岡県(98.4%)、山梨県(93.6%)、岐阜県(83.4%)、神奈川県・愛知県(81.3%)、東京都(73.7%)で高い組織率となっている一方、組織率が10%未満のところも4県あり、地域によって著しい差が見られます。
こうした自主防災組織は、一部小学校区単位などで組織されているものもありますが、9割方は自治会や