ツリーハウスは自然の中で楽しく遊ぶ象徴としてBE−PALが創刊以来シンボルとしていたものなんですが、木に釘を打つという事は日本人の感性としては良くない事なんですね。ある会社のCMでもツリーハウスが木に釘を打っているために放映をやめたという事がありました。
これは、アメリカ人にしてみれば、むしろ影響は与えないのではないかと言うわけで、我々は感性として生きている木に釘は打ちたくないので木をラバーで締めてその上にデッキを作って、小さな小屋を建てる方式を取ったんですが、これも果たして木の成長にどのくらいの影響があるのか、なかなか見えてこない。試してみなければわからない。
でも、自然の中で遊ぶ事によって、自分が自然にどういう影響を与えるかという事が見えてくるんですね。何でもかんでも規制するのではなくて、そういう事を自ずから考える事によって自然環境に対する意識が高まるんじゃないかというところを、雑誌を通じて発信しているわけです。自然と人間が触れ合う場所、たとえば雑木林でも人の手が入る事で森が健全に育っていく。そんな里山を舞台に、人間と自然が共生できる場所を追求してBE−PALは本をつくっています。
高知へは10回以上来ていますが、空港から市内へ向かう途中に里山が隣接している場所が多いですね。雑木林が健全に育っていれば、水もいいわけで、アウトドアで全国的に有名になった四万十川、昨年小学館から写真集を出させていただいた、一級河川の中で一番水質が良い仁淀川のように、我々遠くに住んでいる人間から見れば、都市と自然が隣接していて、非常にいい場所だなと思われます。
◆杉 山………今のお話のように、やはり高知県というと、きれいな川ということで、水環境の問題で今井先生のコメントをお願いします。
◆今 井………確かに、最後の清流四万十川は有名で、本当にきれいな印象を与えてはいるんですが、実際にはかなり汚れて参りました。仁淀川は四万十より水質が少し良いですが、これとて流域にはまだまだ清浄にしなければいけない場所がたくさんあります。
特に心配しているのは、川の浄化もさる事ながら、川に入り込む里山の泉がずいぶん汚されている事です。動物の影響を受けた大腸菌がほとんどのところで検出されます。奥山で生活していた動物が、エサがなくなり里山まで下りてきて、泉を汚していく例が増えてきている。果といっても安心しきれないと実感しています。
もうひとつ、お気づきにならないと思いますが、大気から川が汚されている。酸性雨でいろいろな成分が空から水を汚しています。そして、何といっても生活によって汚している。源流地域がゴミの不法投棄で汚されているというケースは非常に多いのです。まだまだ使える物が廃棄物として捨てられている。
おじいさん、おばあさんが言う「もったいない」という感性をぜひ取り戻して欲しいと思います。これは水資源がもったいないというのに通じる。汚しているという感覚無しにゴミが捨てられ、分解されて水を汚していく。そして川を汚すというようにつながっていきます。
ゴミを出す前に、まだ使える、誰か使う人はいないかと考える必要があります。特に、源流域は川の源であり、空と川、海を結んでいく大切な接点であるという事を知っておく必要があります。