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(2)法人所得課税関係
外国法人に対する「事務所又は事業所」の認定について
外国法人が日本に進出した場合における「事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)」の事務所等の定義は、「自己の所有に属するものであると否とを問わず、事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所をいう」こととされている。
ところで、この原則に対し、外国法人の場合の事務所等については特例が設けられており、いわゆる「恒久的施設」をもって事務所等とすることとされている。
「恒久的施設」はOECDモデル条約等に示されているものであり、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税を防止するために、条約締結当事国が課税するか否かの判断基準ともなる(したがって、内国法人が、外国で事業を行う際に相手国と課税関係が生ずるか否かにも関係する。)ものである。
「恒久的施設」については地方税法施行令第7条の3の5で定められているところであるが、それについては前述のとおりであるが、恒久的施設に該当するか否かについて具体的にみると、予約の受付等を行わず、専ら案内業務だけを行っている場所は、「広告、宣伝、情報の提供等、その外国法人の事業の遂行にとって補助的な機能を有する事業上の活動を行うためにのみ使用する一定の場所」(地方税法施行令第7条の3の5第5項2号)に当てはまる限り、恒久的施設には該当せず、事務所等には該当しないことになる。
なお、内国法人が、同様の案内所を国内に設置すれば、事務所等に該当し、法人住民税の納税義務を負うことになる。
均等割及び法人税割の二つから成り立っている法人住民税は、地域社会のメンバーとしての法人に対し、個人と同様に地域社会の費用の負担を求めるという性格を有している。
なかでも均等割は、その法人の所得の有無にかかわらず課税される税であり、この性格を特に強く有しているといえる。
そこで、そもそも「恒久的施設」を有しない外国法人を当該地域社会のメンバーと考えられるかという問題があり、また、租税条約における相互主義を考慮すると、「恒久的施設」を有しない法人に対し、法人税割の負担を求めることは困難である、少なくとも均等割については外国法人にも負担を求める方向で検討してはどうかとの意見があった。
(3)徴収関係
ア 海外資産に対する滞納処分
租税を滞納した者が、日本国内に財産を残さずに国外に移転、移住する場合は、仮に、外国に資産を所有していたとしても、現在の制度では、特別な条約等がない限り、外国に所在する資産に対する差押えはできないこととされている。
租税条約の中には、「(1)(2)の規定に従うことを条件として、各締約国は、この条約に基づいて他方の締約国の認める租税の免除又は税率の軽減が、このような特

 

 

 

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