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ろう。
そこで、
・納税管理人制度をもっと活用しやすい制度にしてはどうか、
・出国の際に税を一括徴収できるような制度や課税上の申告を義務づけてはどうか、
・永住者は別として現年度で徴収できる方法を検討してはどうか、
・外国人の的確な把握ができるよう外国人登録制度について転出届の義務づけなどの制度の充実を図ってはどうか
などの意見が地方団体に対するアンケート調査では出されている。
(2)法人所得課税
法人の国際課税については、例えばタックス・ヘイブンにみられるような多国籍企業の租税回避の問題など企業の国際活動の進展に伴い、税制がどのように対応して自国の課税自主権の確保を図っていくかが最近の主要な課題となっている。
ただし、この問題は、国税・地方税合わせた我が国の法人税制の課税権の確保の問題であり、地方税独自の問題ではないため今回の調査研究では議論は特に行っていないが、平成8年10月に出された政府税制調査会の法人課税小委員会報告では、今後の国際課税について以下のようにとりまとめられているので、ここで主要なものを抜粋し記述する。
(a)内国法人と外国法人の区分
「現行法人税法上、内国法人とは、我が国に本店又は主たる事務所を有する法人とされており、外国法人とは、内国法人以外の法人とされている(本店所在地主義)。
しかしながら、外国には法人格を有しないパートナーシップや信託の制度が広く存在しており、その態様や本国での課税上の取扱いも区々となっている。
こうした組織が我が国において事業活動や投融資を行った場合、法人税法上の法人として扱うべきかどうかといった問題がある。今後の我が国経済の国際化の進展にかんがみれば、こうした問題について、検討を深めていく必要があると考える。」
(b)国内源泉所得(個人所得税についても同様)
「現行法人税法では、事業活動あるし、は取引の行われる場所、資産の所在地等に着目し、所得の態様に応じて、国内源泉所得の範囲を定めている。
しかしながら、経済取引の多様化や情報化の進展に伴い、世界の金融市場を繋いで一体として取引が行われる、いわゆるグローバル・トレーディングといった取引のように、必ずしも現行税制が想定していなかった新たな取引形態も生じてきている。今後も、金融・資本取引の自由化の進展を背景にクロスボーダー取引は益々複雑化していくものと予想される。」
(c)外国税額控除制度
「控除対象となる外国法人税については、外国の法令により課される我が国の法人税に相当する税とされ、法人の所得を課税標準とする税に代えて収入金額等を課税標準として課される税も、外国法人税に含まれるものとされている。

 

 

 

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