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法人とが別の場合がある。
実際に作業を行う法人の恒久的施設については既に述べたが、その作業の指揮監督を行う法人の場合も、その工事等における重要性にかんがみ、その作業の指揮監督の役務の提供が1年を超えて存続すれば、恒久的施設を有するものとされたものである。
ウ 内国法人に対する課税
内国法人の課税所得は、法人住民税については法人税と同じく全世界所得である。一方、法人事業税については、地方税法第72条の15に規定があり、内国法人が外国に恒久的施設を有する場合には、その恒久的施設に帰属する所得又は収入金額は課税標準の算定において総額から控除することとされている。
事業税が法人税、法人住民税と異なり、海外の恒久的施設に帰属する所得等を除外し、国内における事業活動のみを課税標準としているのは、事業税が地方団体の提供する各種の行政サービスと事業活動との受益関係に着目し、事業に対しその活動量に応じて地方団体の行政経費の負担を求めるという性格を有していることによるものである。
なお、ここにいう恒久的施設とは外国法人に係る恒久的施設と同様すなわち地方税法施行令第7条の3の4に規定する場所である。
(3)外国税額控除制度
ア 意義
前述したように居住者及び内国法人の所得税、法人税及び住民税の課税所得は、国内源泉所得のみならず、国外において生じた所得を含めた全世界所得課税の制度をとっている。
一方、国外所得については源泉地国において、当地の源泉所得分に係る所得税(法人税)等が課税されている。
そこで、我が国では国際的な二重課税を排除するため、国外において個人や法人の所得を課税標準として課税された税がある場合、その額を所得税額(または法人税額)及び住民税額から控除から控除する外国税額控除制度を設けている(所得税法第95条、地方税法第37条の2、第314条の7、法人税法第69条、地方税法第53条第9号、地方税法第321条の8第9号)。
イ 対象
外国税額控除の対象となるのは、我が国の所得税(または法人税)及び住民税に相当する外国の租税であって、その範囲は政令によって定められている(所得税法施行令第221条、法人税法施行令141条)が、それは広義の所得税に相当すると考えられ、所得を課税標準とする租税のほか、超過所得課税、超過利潤課税、所得の代わりに収入金額等を課税標準として課される租税、利子・配当等に対する

 

 

 

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