日本財団 図書館


ウ.共に生き、共に築く魅力的なまち
そして、都市施設の整備に指針をいかし、指針を進行管理していくとともに、福祉的視点にたったまちづくりを総合的かつ面的に推進していくために学識経験者や福祉関係者らで構成する「福祉のまちづくり推進委員会」を設置し、幅広い見地からの意見や助言を得るとともに、指針に基づいて面的・総合的なまちづくりを重点的に推進していくため、特定の地区をモデル地区に指定し、事業を推進している。(平成9年度までに3地区を指定)(図4)
また、多数の市民が日常生活や社会活動に利用する公共的建築物について22項目の福祉環境整備基準を定め、施設規模や用途に応じて適用し、建築確認申請前に建築局において協議を実施している。さらに、要綱に定める基準を満たす建築物については建築主等の申請に基づいて福祉環境整備基準に適合している場合には「やさしさマーク」を発行し、建築物の出入口に掲示をしている。(図5)
ここでは面的整備のうち、二つ目に指定されたモデル地区である千種公園周辺モデル地区整備についてふれてみたい。このモデル地区は指定地区ごとに切り口を変えたテーマで取り組んでおり、平成5年度に第一号に指定された「小幡モデル地区」が第一種市街地再開発事業と連動した道路主体であったのに対して、平成6年度に指定されたこの「千種公園周辺地区」は公園を主体とした福祉環境整備を中心に取り組まれてきた。わが国では都市公園レベルで車椅子利用者や視覚・聴覚障害者等が使いやすく楽しめる公園づくりに本格的に取り組んだ例があまり見られず、その意味では先進的な事例として注目を集めている。
一般的にモデル地区指定にあたっては次のような地区設定の基準を設けている。
ア.高齢者・障害者の多数居住する地域
イ.福祉施設など公共的施設が集積する地域
ウ.交通結節点など多数の市民が移動する地域
この千種公園の場合、近くに市民病院、あるいは盲学校・ろう学校などがあり、高齢者等の車椅子利用者や視覚・聴覚障害者の潜在的な利用ニーズはかなり高いと考えられる点が選考の理由となっている。(図6)問題はモデル地区の範囲をどのように設定するかであるが、まず、現況を把握

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION