日本財団 図書館


ことが求められる。また、生活水準の向上や、人びとの価値観の多様化に対応して、施設サービス、在宅サービスの質の向上を図ることが必要である。
 
?深刻化する痴呆性高齢者の介護
都内の痴呆性高齢者数は、平成8(1996)年で約6万人に達していると推計されている。また、中等度以上の痴呆の割合が増加し、痴呆の重症化が進んでいる。痴呆性高齢者を介護する家族が、心身両面にわたってストレス症状を示す場合も多いなど、介護の負担は極めて大きなものとなっている。
このため、都は、痴呆性高齢者対策に積極的に取り組み、医療体制の整備、在宅サービス・施設サービスの充実など、各種の施策を総合的に推進していく必要がある。
 
?社会経済状況の変化への対応
今後は、従来のような経済成長が見込めないなかにあって、後期高齢者の増大にともない介護等のニーズが大幅に増加することが予想される。このため、限りある財源を効率的・重点的に利用するとともに、既存の施策についても見直しを行っていく必要がある。
また、東京には、さまざまな福祉サービスを行う市民団体が各地域で育ちつつあること、人口の集中度が高く経済規模が大きいなどシルバービジネスの発展する可能性が高いことなどの特性がある。しかし、現在、区市町村が在宅サービスを委託する相手方については国が厳しく制限しており、自治体の判断による柔軟な委託が困難になっている。これからは、地域の実情に応じて地方自治体がサービス提供機関としての適否を主体的に判断できるようにすることが必要である。
 
(2)施策の方向
?保健・医療・福祉の連携とサービスの総合的提供
i 「高齢者サービスステーション」の設置
要介護高齢者とその家族のニーズは保健・医療・福祉の分野にまたがることから、保健・医療・福祉が連携した総合的なサービスを効果的に提供する。
これまでのように、サービスの利用者がホームヘルプや訪問看護などのサービスを、その都度、自らそれぞれのサービス提供機関に申し込むのではなく、

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION