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図7 100m背泳ぎにおける世界記録の変遷

共に記録が短縮されてきた。世界と日本との記録の開きは、以前に比べ小さくなってきている。個々に検証してみると、世界の男子では、1976年まで大幅に記録が縮められてきたが、その後は、緩やかな伸びにとどまっており、特に1992年以降は横ばい状態となっている。日本の男子は、1976年以降、年毎に記録は短縮されてきたが、1988年以降は伸びが停滞している。また、世界女子では、1972年から1976年の間に著しく記録が伸びた後は、この記録を数十年間にわたり維持するような状態があり、記録短縮は僅かとなっている。それに対し、日本女子は、世界との大きな差を急激に減少させており、この勢いを失わなければ、世界の実力に伯仲できる可能性を持つ。
一方、200m背泳ぎ記録の推移を図8でみると、世界の男女ともに1976年まで大幅な記録の向上がなされた事実を確認できる。世界男子の伸びはそれ以後些少となっており、ネーバーの記録の価値を再確認することができる。世界女子に関しては、記録短縮の割合が、小さくなってはいるものの1992年までは、順調に伸びてきた。日本の記録は、世界に数十年遅れて推移してきたが、ここ数年の世界の伸びの停滞傾向を尻目にその差を詰めてきている。男子は世界との差が平行線を辿っているものの、女子の記録の伸びは凄まじく、この傾向

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図8 200m背泳ぎにおける世界記録の変遷

が継続されるとすれば、記録の面でも世界に接近するであろう。

6. 過去20−30年間の泳速の変化

過去20−30年間の自由形および背泳ぎの世界記録を泳速に変換し、プロットしたものをグラフに表した(図9および図10)。図9では、男子の100,200mの自由形および背泳ぎの泳速を示した。ここ数年ではいずれの種目も、横ばいの推移となり自由形、背泳ぎともに、既存の泳法では大幅な泳速の向上は見られないと推察できる。また、200mの自由形の泳速と100m背泳ぎの泳速がほぼ同じような動きを辿っていることがわかる。
図10に女子の泳速の推移を示したが、男子同様この数10年の間に、それほどの泳速アップは見られない。男子に見られた100m背泳ぎの泳速と200mの自由形との似通ったグラフ波形は、女子のケースでは、当てはまらず両者に差が生じている。この差は、男子の例に倣えば、短縮可能と考えられる。私見であるが、男子に大幅な記録の向上をもたらした水中ドルフィンキックを女子で採り入れている選手が少ないことが原因ではないだろうか。

 

 

 

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