
中小形船部会委員の絶大な御協力に深謝申し上げ結びとする。
5.2実験と解析結果の比較
(1)テーパーの影響
図3−8あるいは図4−4(a)によると、防撓板パネル部の幅方向のひずみ分布は、リブ材近傍で最も圧縮応力が大きく、パネルの中央に向かって減少し、付近で引張に転じ、パネル中央で最大の引張ひずみが生じる。パイセクションでは、リブ材を挟んで両側に幅40mmのテーパー部があるため、パネルの面外曲げを妨げるはたらきをし、パネル中央の圧縮ひずみも小さくしている。
そこで、パネル部に水圧を受ける防撓板について、パイセクション材のリブ材近傍のテーパーの効果を検証するために、プレリブ材のパネル部の板厚を変えてFEM計算を行い、パイセクション材の結果と比較して、応力集中部において同程度の応力値が得られる板厚を求める。図5−1に計算結果を示す。パネル中央部の引張応力を等価にするためには、板厚を7.3mm、横部材の取り付け位置における長さ方向の圧縮応力を等価にするためには、パネル板厚を7.7mm、防接材近傍の幅方向の圧縮応力を等価にするためには、パネル板厚を9.0mmにする必要がある。
(2)アスペクト比の影響
軽構造船舶に実際に使用されるパイセクションなどの防撓板を想定して、最も効率的なパネル部のアスペクト比を検証するため、パネルの長さを変えた防撓板のFEM計算を行った。
パネル幅300mmを固定して、長さを300mmら1500mmまで4種類の細長比のパネルについての計算結果を図5−2に示す。上図は、パネル長さを横軸に付図に示すA,B,C位置での応力、下図にパネル中央における変位を示す。パネル中央での応力と変位はいずれも細長比が大きくなるにつれて大きくなり、防撓材端部では細長比が大きくなるにつれて応力は緩和され、長辺方向の端部では、細長比2以上で応力はほぼ一定となる。
最大応力は、細長比が1〜2の範囲では、実際の船舶の横桁への取り付け位置になると考えられるA点に圧縮応力が発生し、細長比が3になるとA点の圧縮応力とB点の引張応力はほぼ同じ値となる。3以上の細長比になると、B点に引張の最大応力が発生する。
細長比が3以上になると防撓材付け根部のC点の応力は小さくなる傾向がある。実際の船舶に使用する場合には材料の耐力が設計の要件となるが、パネルに一様分布荷重がかかるとした場合の計算結果からは、パイセクション材の最適細長比は3の近傍で使用するのが効果的であると考えられる。
(3)結論
船舶用アルミ合金押出形材に水圧負荷試験を行い、その性能確認試験を行った結果、パイセクション材などの強度特性について、以下の結論を得た。
(1)水圧を受ける防撓板の挙動はFEM計算により十分再現可能であることが確認された。
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