日本財団 図書館


 

4.2 FEMによる弾塑性解析
4.2.1 計算モデル
FEM計算はMSC/NASTRAN詔シエル要素(CQUAD4)で行った。4.1.2項で述べたように、試験体の支持条件を防撓板を補強した外枠の受圧部位置で固定されていると仮定した。また、対称条件から試験体の半分をモデル化した(図4−1)。計算結果の精度検証のために、MARC厚肉シェル要素(EL,75)、MARCソリッド要素(EL,7)、MSC/NASTRANソリッド要素(CHEXA)を用いてFEM弾塑性計算を行った結果、水圧を受ける防撓板の挙動についてほぼ一様な計算結果が得られた。

 

4.2.2 解析結果
(1)荷重−撓み
図4−2(a)、(b)に、それぞれパイセクション及びプレリブ試験体のパネル中央部における撓みの実験値とFEM解析結果を示す。パイセクションでは解析値と実験値は良い一致を示している。また、プレリブにおいては、低圧域においては良い一致を示している。水圧が高くなると、実験値と解析値との差が大きくなるが、両者は同じ傾向を示している。
(2)荷重−ひずみ
ひずみの解析結果と荷重の関係を図4−3に示す。図4−3は、各計測位置に相当するメッシュ位置でのひずみと水圧との関係を示す。
(3)ひずみ分布
図4−4(a)、(b)にひずみの分布を示す。(a)は幅方向(Y)分布を、(b)は長手方向(X)の分布である。
(4)応力分布
図4−5にパイセクション材のFEM解析による応力分布の例を示す。図はパネルに作用する水圧がP=0.3N/mm2の場合の解析結果を示す。赤系統の色の部分が高応力であることを示す。
応力は、von Misesの等価応力である。パネル中央部に高応力が見られるが、最大応力は、リブ間中央の枠材の取り付け端部に現れる。これは、本試験におけるどの試験体にも共通している。

 

5. 性能確認試験結果の考察と結論

5.1 性能確認試験結果の総括
アルミニウム合金船の設計・建造にあたっては、アルミニウム合金材の特徴である押出形性能を活用した押出形材を使用することによって、アルミニウム合金構造の欠点の大部分が解消できることが判ってきた、特に船底、船側、甲板などの船体の主要構造にパイ形材又はパイ・セクションと呼ばれる。テーパ付きアルミニウム板とスチフナを一体にした押出形材の有効性を認めて、これのアルミニウム台金船への大幅な適用を図るため、普及のネックになっている標準化されていないことに焦点をあてて、これの標準化事業が発足した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION