
次に示す2つの境界条件を設定して、水圧を受けるパイセクションの挙動を比較した。
?防撓板端部を固定条件とした計算
?押さえ治具先端に固定条件を設定した外枠をモデル化した計算
これらの条件に対するFEM解析モデルを図4−1に示す。また、境界条件を決定するために中央部面外変位の実験結果と計算結果を比較検討して、外枠も含めた計算モデルとした。(図4−2参照)外枠をモデル化した計算モデル?によっても、実験結果よりやや固めの変形を示している
が、これは溶接熱軟化の影響を考慮していないことによる。後述する実験結果のFEM計算による検証は、外枠をモデル化した計算モデル?で行うこととする。
4.1.3 溶接残留応力
プレリブ及び溶接組立材におけるリブ材の溶接、また、防撓板と外枠との溶接により、試験体には溶接残留応力が存在していると考えられるが、FEM計算においては考慮していない。
4.1.4 溶接熱軟化部の強度
高強度アルミニウム合金を溶接する場合、熱影響部の強度が低下することが知られている。本報告においては、使用した材料に対してこのような軟化域に対する試験を行っていないため、これまでの研究成果をもとに軟化域の幅及び強度を推定し、FEM計算に用いた。
文献[1]及び[2]によると、軟化域の幅は板厚の2乗に逆比例し、溶接入熱量にほぼ比例することが示されている。また、文献[2]の実験結果では、火熱量2400J/?で溶接した板厚4mmのA5083−H321板に対して、軟化域の0.2%耐力として約160MPa、軟化域の幅56mが得られていることから、FEM計算においては、A5083−H321板の軟化域の幅を実験式として、次式で近似した値を用いた。

従って、プレリブ材の板部と外枠との溶接条件によると、(4.1)式によって得られるプレリブ材の板部に生じる軟化域の幅は、17.2mmとなる。なお、ここでは、軟化域の0.2%耐力としては、約160MPaをそのまま用いる。
一方、パイセクション材に使用されているA5083−H112の軟化域の強度は、A5083P0材に等しいと仮定し、幅についてはプレリブ材(A5083−H32)と同様に17.2mmと仮定した。
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