
3.4.5 考察
今回行った試験条件での水圧に対する試験体中央の撓みは、図3−6に示したように、ほぼ水圧に比例して増加する場合と、水圧の増加に伴って撓みの増加の割合が減少する場合の2つの傾向がみられた。水圧に比例する場合はパイセクションと溶接組立材である。さらに、溶接組立材の撓みはパイセクションのそれに比べて大きい。これはパネルの板厚が一様な溶接組立材とリブ近傍にテーパーがあるパイセクションの剛性の違いによるものである。
また、プレリブ材の撓みと水圧の関係が線形でない原因は、図3−7(b)に示したように防撓材付け根に応力が集中し、そのため図3−10(a)、(b)に示すように防撓材の変形が小さく、水圧によるエネルギーが防撓材間のパネルを変形させることに多く費やされるためである。
3.5 試験結果
3種類の試験体の水圧試験結果を基にパイセクション材の強度性能にっいてまとめると以下のようになる。
(1)パイセクション材のパネル中央での撓みは、試験した荷重範囲1.0MPaまでは、ほぼ荷重と比例関係にある。0.6MPa程度まではパイセクション材の変位は、プレリブ材と溶接組立材のそれと比べて小さい。
(2)各試験体のパネルのひずみの分布から、パイセクション材のひずみはプレリブ材や溶接組立材のそれと比べて全体的に小さい。
(3)上述(1)及び(2)の結果は、一様な板厚を有する他の試験体と異なり、パイセクション材は、リブ取り付け部の両側に幅40mm程度のテーパーを有し、幅方向に板厚が変化する変断面をしていることによると考えられる。この断面剛性の分布が上述の変位、ひずみの分布に現れている。以上のことからパイセクション材の有効性が確認できる。
4. FEM計算による検証
実験結果をFEM構造解析により検証し、パイセクション材のパネルの細長比、板厚の効果などを検討する。
4.1 計算条件
4.1.1 加工効果の影響
図2−2〜図2−4に示した使用材料の引張試験結果より、各材料に対して応力増分と塑性ひずみ増分の関係を求めた結果を表4−1に示す。FEM計算に際しては、この応力増分/塑性ひずみ増分を用いて、塑性後の加工効果の影響を考慮した計算を行った。
4.1.2 境界条件
水圧負荷試験では図3−4に示したように、被試験部である防接板以外に、防撓板を支持する外枠の部分も圧力を受けるため、防撓板の外縁が完全な固定条件とはなっていない。そこで、
前ページ 目次へ 次ページ
|

|