
1. はじめに
最近、高速旅客船の需要が高まりつつあり、これら高速船の建造に関しては、軽量、耐食性、建造・加工の容易性、工数の低減及び材料のリサイクル性などに関して優れた特徴をもつアルミニウム合金押出形材(通称:パイセクション)が使用されつつある。本会では、平成7年度までに、パイセクションの形状・製造精度などのばらつきの低減を図り、建造時(溶接など)や使用時に生じ得る不便・不安を軽減させるために「般用アルミニウム合金押出形材」の規格原案を作成しだが、本年度(平成8年度)にこの規格原案の規定内容である機械的性質や断面性能などの基本的事項について検証するため、担当部会である中小形船部会において、性能確認試験を実施し、規格の信頼性向上を図った。
性能確認試験内容については、般用アルミニウム合金押出形材の強度性能を確認するために、水圧負荷による面外曲げ試験及び材料試験を行った。強度性能を比較するため、供試材として軽金属押出開発株式会社(KOK)製パイセクション(A5083S−H112)、スカイアルミニウム株式会社製プレリブ材(版材A5083P−H32/防撓材A5083S−H112)及び通常、造船所などで製作される溶接組立板(板材A5083P−0/防撓材A5083S−H112)について同一条件での試験を実施した。また、試験条件に合わせてFEM構造解析を行い、試験結果の検証を行ったので、ここに報告する。
1.1 部会の構成(中小形船部会)
(敬称略、順不同)
氏名 所属
(部会長)
金子幸雄 元長崎総合科学大学教授
(委員)
青木健作 船舶整備公団
菊地陽一 学識経験者
奥山孝志 学識経験者
富沢茂 祉団法人日本中型造船工業会
二宮利道 財団法人日本小型船舶工業会
久野昇一 社団法人日本旅客船協会
土屋貞光 エヌケーケー物流株式会社
糸山直之 スカイアルミニウム株式会社
菅野次郎 住友軽金属工業株式会社
前田恂 日本軽金属株式会社
利光一紀 有限会社利光設計事務所
(関係者)
浜口喜博 軽金属押出開発株式会社
丸山重雄 古河電気工業株式会社
梅本俊一 株式会社神戸製鋼所
天谷義則 昭和アルミニウム株式会社
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