74号)である。同法は、排他的経済水域とは、日本が国連海洋法条約第5部による「沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する水域」であり、大陸棚とは、同じく国連海洋法条約による「沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する大陸棚」と定義する(1条、2条)。同法により、わが国が排他的経済水域・大陸棚を一般的な法制度として設けることが規定されたが、同法4条は、条約に別段の定めがある場合は条約が優先することも定めている。また、同法3条は、排他的経済水域・大陸棚におけるわが国の法令の適用関係について明らかにしており、天然資源の探査・開発、海洋構築物、海洋環境保護、海洋科学調査等について日本の国内法令(罰則を含む)が適用されることを規定する。
以上を前提にすると、排他的経済水域・大陸棚における「天然資源の探査及び開発」について、日本の国内法令によって大陸棚の鉱物資源と排他的経済水域の漁業資源を念頭に置いた規制システムを仕組むことは、比較的容易であろう。
実際、「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」3条1項は、排他的経済水域及び大陸棚における「天然資源の探査、開発」(1号)、「経済的な目的で行われる探査及び開発のための活動」(2号)、「大陸棚の掘削」(3号)について、わが国の法令(罰則を含む)の適用を定める。従って、漁業資源ないし鉱物資源に関する「探査」・「開発」について、日本の法令の適用関係は明確であり、問題は国内法令がとる規制システムの内容に還元される。なお、同法4条の規定は、例えば日韓協定・日中協定などの方が優先することを示す趣旨であると解釈される。
排他的経済水域における漁業資源については、「排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律」(平成8年法律76号)が施行されている。右の法律は、排他的経済水域について、外国人の漁業等を原則禁止とした上(5条)、外国人の漁業等について農林水産大臣の「許可」制に服することを定める(6条)。同時に、同法は、外国人による「試験研究等のための水産動植物の採捕」(7条)や、「探査(水産動植物の採捕に資する水産動植物の生息状況の調査であって漁業等付随行為に該当しないもの)」(9条)について、農林水産大臣の「承認」に服するという規制システムを規定している。
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