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寄  稿

「白い象」って何?

 

国際海事機関(IMO)事務局
永家邦幸
 
さて、ここ英国、ロンドンにある国際海事機関(IMO)に赴任して早や1年と半年が経とうとしております。30数年の人生を日本のみにおいて過ごしてきた私にとって、この街は、まだまだ新しい発見も多く、新鮮かつ刺激的でさえあります。
今回、コンパスに原稿を書く機会を与えて頂き、どうしたものかと考えたのですが、ご存じの通りロンドンは長い伝統を誇る世界有数の大都市であり、旅行者も多く、テレビ、新聞その他のメディアでもしょっちゅう取り上げられており、今更「観光ガイド」のような事を書いても仕方がありませんので、ごく私的にはなりますが、日頃感じている事や、忘れ難いエピソードなどを思い付くままに紹介させて頂きたいと思います。
 
1.言葉のこと
前述した通り、IMOに来て約1年6ヵ月となりますが、言葉に関してはいまだに不自由を感ずる、言い換えるなら、言葉と格闘している日々です。私の現配置は、海上保安庁出身者としては4人目であり、ある程度、ここがどういう職場で、何をやっているかご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、簡単に言うと、IMOを含め、各国連機関における一種の「見習い」配置で、原則として正規の国連職員として採用を希望する若者が、実際にその機関でAPO(Associate Professional Officer:補助専門職員)というポストで仕事をしながら、業務を学んでいくというものです。しかし、「補助」或いは「見習い」とは言っても、実際には、丸っきり一人前の職員として扱われ、少なくともIMOでは、誰もこのAPOに一から仕事を教えようなどという事は考えておりません。
さて現在、IMOには約300名の職員がおり、そのうち日本人職員は全部で4名、私
 

 

 

 

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