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ウラジオストク事情

 

在ウラジオストク日本国総領事館
副領事 佐藤昭人

 

【概観】
ウラジオストク市は、ロシア連邦沿海地方の南東部、日本海に突出するムラヴィヨフ=アムールスキー半島の先端に位置しており、定期便が飛んでいる新潟市からは1時間20分程度でウラジオストク空港に到着することができます。
当市は、金角湾(ザラトイ・ログ)と呼ばれる深く入り込んだ天然の良港を中心に広がり、丘陵地帯にアパート群が並び立つ坂の多い町並みとなっています。フルシチョフ旧ソ連共産党第一書記は50年代に当市を訪れ、将来への夢を込めて「極東のサンフランシスコ」と名付けたそうですが、夢の達成までには今暫く時間がかかりそうです。
ウラジオストクは1860年に国境警備所が設置されて以来、太平洋への出口として発展を続け、金角湾には無数のクレーンが林立する軍港、商港、漁港を有する極東最大の都市となっています。人口は1996年現在で約65万人となっていますが、実際には70から80万人とも言われています(沿海地方全体では人口227万人)。人口の大多数はロシア人、ウクライナ人を中心とするスラヴ系の人々ですが、近年、中国人及び中央アジアからの朝鮮系民族の流入が目立っています。中心産業は、貨物の中継基地としての港湾施設、主に軍艦修理を対象とした船舶修理工場、漁業関連施設基地であり、市の周辺部には各種軍需産業が点在しています。
気侯に関しては、札幌市とほぼ同緯度(北緯43度)に位置しているため、冬季はシベリアほど厳しくはないものの、1月の平均気温はマイナス14度、雪は少なく乾燥した風が大陸から日本海に向かって強く吹き抜けるため、体感温度はマイナス30度近くになります。春の訪れは比較的早いものの、緑が芽を吹くのは5月の半ば頃です。6〜7月にかけて濃霧に包まれる日が多くなりますが、8〜9月は気まぐれな台風の襲来を除き、好天が続きます。9月下旬から10月にかけては、ロシア人が黄金の秋(ザラターヤ・オーセニ)と表現しているように、山々が紅葉し素晴らしい景観が一面に

 

 

 

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