日本財団 図書館


海外派遣職員便り

 

クウェイト出稼ぎ労働者事情

 

在クウェイト日本大使館
三等書記官 長島博之

 

長い間皆様方にはご無沙汰しております。早いもので小生が当地に着任してから1年半が過ぎようとしております。
さて、今回寄稿させて頂くにあたって、何を題材にしたらよいか散々迷ったあげくクウェイトにおける出稼ぎ労働者について少々ご紹介させて頂こうかと思います。クウェイトというと、一般的に1991年の湾岸戦争、夏期には日中50度にも達することがある酷暑の国、石油に恵まれたリッチな国との印象がありますが、その他にクウェイトに限らず周辺の湾岸諸国にも共通して言えることですが、非常に多くの外国人労働者が出稼ぎのために長期間居住しているという一面もあります。中には家族ごと移り住んでいる人もいますが、その殆どは故国の家族に仕送りをしつつ自分たちは低賃金で厳しい生活環境及び労働環境に耐えながらいつの日か故国へ帰れる日をめざして頑張っている人々です。
1994年12月の時点での調査結果によると、クウェイトの総人口183万人(注:ここでいう人口とはクウェイト居住者数のこと)のうち、クウェイト人は68万人に過ぎず、残り115万人は外国人居住者となっており、また労働者総数99万人のうちクウェイト人労働者数は16万6千人となっています。右数字はこの国の労働力がいかに大きく外国人労働者に依存しているかを物語っているものといえましょう。外国人労働者の出身国については、政府による国籍別外国人労働者数の統計が発表されていないため、正確な国ごとの出稼ぎ労働者数は列記できませんが、主な出稼ぎ労働者の出身国を挙げますと、エジプト、インド、シリア、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、レバノン、フィリピンといった国々となっており、右国々からは各々数万人から20万人位の規模で出稼ぎ労働者が働いているものと思われます。右以外にも中国、ネパー

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION