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オメガの廃止に関する動向について

 

灯台部監理課国際係長
加藤敏春

 

(はじめに)
オメガ航法システムは、全世界的な航行援助システムとして米国で開発されたもので、米国政府は送信局を配置するうえで適地となる関係国と協議を進め、アルゼンチン、オーストラリア、フランス、リベリア、ノルウェー及び日本が米国とそれぞれ二国間協定を結んで送信局を設置、運用をすることとなり、これら7カ国に設置された8局の送信局で全世界をカバーし、世界の海上交通に貢献しています。
(オメガの廃止に関する動向)
米国政府は、海上及び航空のオメガ利用者がGPS等の他の航法システムに移行していること、また、国防総省でのオメガの必要性がなくなったことから、1994年版連邦政府電波航法整備計画書(FRP)において、1997年9月30日をもってオメガを廃止する意向を発表しました(FRPの公表日は、1995年5月)。
以前から、利用者の減少や財政的理由により、廃止を考えている国もありましたが、オメガの設置から運用に至るまでイニシアチブをとり、また、前述のように関係国とそれぞれ二国間協定を締結している米国がこのような発表を行ったことにより、オメガの将来計画が大きな問題として浮上し、国際オメガ技術委員会(International Omega Technical Commission:IOTC)で議論されることとなりました。
IOTCは、オメガ送信局を運用する機関の代表で構成され、オメガの運用及び維持管理に関する協議やオメガに関する国際調整を行うもので、本年4月、オーストラリアのメルボルンで会議が行われ、オメガシステムの将来について検討されました。
同会議では、オメガシステムの運用に係る米国の重要な役割を認識し、また、関係各国の将来計画を確認し、さらに、オメガ送信局の廃止は同一期日に実施すべきであることに同意したうえで、オメガシステムが1997年9月30日に廃止される可能性が非常に高いことを、それぞれの国の関係政府機関や利用者団体等へ早急に通知すること

 

 

 

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